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□策略と幸せを
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「ボス、今日の予定は書類チェックに他ファミリーとの対談です」
私はボンゴレボス・沢田綱吉さんの秘書だ。
毎日毎日忙しいボスのために少しでも役立てるように頑張っている。
ただ、私が抱いている感情とは“ただのボス”ではない。
「ありがとう、**。あー今日も忙しいなぁ。
てかいい加減ボスって呼ぶのやめようよ。俺慣れないからさ」
「いやいや、そんな!私はただの秘書なんですから」
「……………」
自分で言っていてチクッと胸が痛む。
この痛みが何か、なんて簡単に分かってるんだ。
それは私がボスのことが好きだから、これが理由。
でもね、それが叶わないなんてことはちゃんと知ってるの。
…このことを考えてしまうとつらくなるし少しだけこの場にいにくくなる。
「…それではお茶の用意してきますね」
そんな私はボスのためにお茶を用意する、そう口実を作って一度部屋を出た。
「………はぁ」
とぼとぼとアジト内を歩く私。
お茶を淹れるためにはボスの部屋から少し歩かなければならないのだ。
私は少し頭を切り替えようとしてふと顔を上げる。
だけど私の心は晴れないどころか余計に重くなってしまった。
「あ!**さん、こんにちは!」
「…こんにちは、京子さん」
そう、何故ならボスの同級生の笹川京子さんがいたからだ。
別に京子さんのことは嫌いなんかではないし、
むしろ女性の鏡だと思えるくらいとても素敵な人だ。
だけどどうしても悪く考えてしまう。
京子さんはボスの好きな人、もしくは付き合っているからだ。
決して誰かが言ったとかそういうわけではない。
だけど彼女がここに来る時は必ずと言ってもいいほどボスと会っている。
それにボスは中学生の時、京子さんのことが好きだったそうだ。
きっとボスと京子さんは…
だから私の恋なんて叶うわけがないんだ
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