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□降り止む雪の月
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そして決め手となったのはあの日



その日の任務は珍しく簡単なもの、「並盛町の見回り」。

なめてるのかと思ったけどこれはどうやら沢田綱吉の最近苛ついている僕への配慮らしい。
全く、余計なことを。


でも僕は少し懐かしさを感じ任務を実行した。

あと残りは街だけとなり、街を見回っていたその時。




「また会えたわね」

「……」



いつもの女だ。
少し軽くなっていた心も台無しだ。

笑いながら話しかけてくる女…今日こそ咬み殺してやろうか。


そう思ってトンファーを構えた僕は女に近づいた。
女は少しだけ驚いたようで僕にこう言った。




「…今日はいつもより機嫌が悪いみたいね。
どう?今日は私と飲み明かしてみない?」


「君、馬鹿?そんなこと君とするわけないでしょ」


「そう?少しはスッキリすると思うけど」


「…………」




そんなことするわけない。


こんな知らない女と酒を飲むなんて。



でも…「少しはスッキリする」、この言葉に惑わされて結局この女の誘いを受けてしまった。







「………ん…」



目を覚ますとあまり見慣れない場所。


ああ、そうか。
久しぶりに飲んだから寝てしまったのか。


時計を見てみればもう3時を回っていた。





「…………」



一緒に飲んでいた女は既にいない。
寝てる僕を置いて店を出たんだろう。


僕はそこまで酔っているわけでもなかったのですぐにその店を出て、家に帰った。




今から帰るとすると4時くらいになってしまう。


**は待っててくれているだろうか。



こんな状況でもそんなことを考えてしまう僕はなんて愚かなんだろう。








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