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□降り止む雪の月
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「……………」
**が出て行った扉を見ることしかできない僕。
一体今、何があったんだ
いや、本当は理解していた…、認めたくないだけだ
「…っ**…!」
僕は一体何を…。
はじめはいつの日か覚えてないけれど、
ある日僕は**に帰りが遅くなると伝えずにそのまま帰りが遅くなった時がある。
その日は仕事ではなく、寒くなったこの時期に何か**へ買ってあげようと思い、街へ出ていた。
僕は群れるのは嫌いだけど**は寒がりだから。
だけどその時
「ねぇ、そこのお兄さん暇ー?どこかで遊ぼうよ」
見知らぬ女に声をかけられ、ベタベタと僕につきまとってきた。
何これ、逆ナンとか言うやつ?…うざい。
それに甘すぎるほどのこの女の香水の匂いが気持ち悪い。
「は?…邪魔なんだけど」
「えー、ひどいー」
結局僕はその女の所為で気分を害してそのまま家に帰ったんだ。
その日僕が帰った時、いつもの**なら「遅かったね」とか「どうしたの?」とか他愛なく聞いてくるのに
何故か**は何も言って来なかったんだ。
それでもその時は気のせいだろうと思っていた。
だけど、その日から崩れ始めたんだ
次の日も、また次の日も仕事が終わればその女の所為で帰りが遅くなっていた。
毎日毎日何なんだ、こいつは。
それを聞けば「こんなにかっこいい人見たことないから」としか言われない。
本気で咬み殺そうかと思うがこんなやつ相手にするだけ無駄だ、そう思っていつものように無視して家に帰る。
でも、帰っても僕の機嫌は直らない。
何で**は何も言わない?
確かに帰りが遅くなるのはこの女の所為だ
だけど何も言わないのは何故?
何で最近は全然話さない?
もともと会話は多くないけど、それでもそんな会話も時間も好きだったのに
何で、どうして
この気持ちが妙に僕を苛つかせた。
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