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□気付いたのは恋心
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「(見回り行きたくないな…)」



そう思い、溜め息を吐きながらも私は応接室に向かう。

見回りが嫌なのではなく見回りに行く前に応接室に行かなければならない、
それが行きたくない気持ちにさせているのだ。


応接室に着き、入ろうとしたその時………




「好きです、雲雀さん!」


「!?」



なんと応接室にいた女子生徒が雲雀さんに告白していたのだ。

私思わず足を止め、ドアの近くの壁に寄りかかる。
聞いてはいけないと思っても聞かずにはいられなかった。




「……だから何?」


「あ、あの…だからその…付き合ってほしいんですけど…」



ドクンドクンと嫌に鳴り響く心臓。

雲雀さんはどう答えるのだろうか。
そう思っていると次の雲雀さんの一言はその子だけでなく、私にも響く言葉。




「無理。僕、女は興味ないから」


「…っ!」



嫌に響く心臓にグサリと刺さった言葉。

おそらく告白した女の子はもっとダメージを受けたはず。
しかしその子は言葉を返したのだが…。



「っじゃあ…私を風紀委員に入れてください、そしたら…!」


「風紀委員に女は必要ない」


「!!」





そうはっきり言った雲雀さん。
その言葉は確かに心の底まで突いてきた。



「…っ!」



私は早くここから離れたいという想いに駆られ、
なるべく音をたてないように教室に戻る。




ああ…そっか、分かったよ


雲雀さんは私が風紀委員でいることが嫌だったんだ

きっと態度が変わったあの辺りから



でも雲雀さんはなんだかんだ優しいから私に言わなかっただけなんだね

辛い辛い言ってる私なんかよりずっと嫌だったんだ、雲雀さんは


……辞めよう、風紀委員を

私が辞めれば雲雀さんは嫌な気分でなくなるんだから


でも…………






「う…っあ…っ」




涙が、止まらない






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