Short
□もう少しだけ
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「**」
嗚呼、もし私がスパイだと知っていたなら
貴方は私に微笑んだりしないでしょう?
「恭弥…」
「何辛そうにしてるの?ほら、こっちに来なよ。」
そう言われるまま恭弥の方に行くと恭弥はそっと私を抱き締めた。
それが、どれだけ嬉しくてどれだけ悲しいか……。
「っ恭弥…好き…!」
「…変な**。」
そっと口付けられる唇は自分の中で悲しみにしか染まらない。
私はミルフィオーレから来たスパイ。
そんな中で恋愛なんか出来るわけないしするわけない、そう思っていたのに……。
私は……
「**、愛してる」
貴方に、染まってしまった。
だが既にミルフィオーレは動き出している。
何度ミルフィオーレに逆らおうと思ったか…。
だけどそんなことしたら私はもちろん恭弥もきっと殺される。
だから従うしかない。
もし私がスパイでなかったのなら
きっともっと違う未来が見えたはず。
早く、早く貴方を裏切らないと………。
だけど----------……
もう少しだけ
(このままでいさせて)
(もうすぐ私は心を殺して貴方を裏切るから)
(嗚呼、僕は彼女がスパイだと言うことを知っていたのに)
(愛してしまった)
end