さいど

□世界で一番大嫌いな君へ #
2ページ/2ページ


そうは言われても、何でも言えぬ罪悪感にとらわれる。


「他に…ケガは?」

「…なに?シズちゃんのクセに心配してくれんの?」

「はっ…!?なに調子乗ってんだよ!殺すぞ!!!」


クスクスと笑う臨也に、心を見透かされているようで怖い。


「何なのさ。じゃあ、何でそんなこと聞くの?」


お前が居ない世界なんてつまらないから。
…なんて言ったら、一体どんな顔するだろうか。 …想像してちょっと引いた。


「手前の相手する奴なんてそうそう居ねぇだろうからな」

「…それ、俺の台詞なんじゃないの?」

「あ?知るかよ。手前に居なくなられたら困んだよ」


静雄は言ってからハッとして口をつぐんだが、遅かった。


「何で?何で俺が居なくなって、シズちゃんが困るの?」

「い・いや……それ、は…」


臨也が起き上がって身を乗り出す。
静雄は身をよじって後退りした。


「う、だって…俺、臨也が…」

「…俺が、なに?」

「…臨也が居なくなったら、俺は誰にストレスぶつけりゃいい…」










「は…?それだけ?」

「…それ以外にあるか!」


臨也は脱力したのか落胆したのか、
がっくりと肩を落とし、ため息混じりに言った。


「シズちゃんに期待したのが間違いだったよ。」

「…?、?」

「まぁ、今はそれでもいいや。」

「…何言ってんだ?」


俺が疑問そうに尋ねると、ふわっとはにかんで誤魔化された。


「さーてと!そろそろ戻るかな」

「お、おう。」



ふと、臨也の後ろ姿を眺めて、思ったことがある。



ごめん臨也。
…言えないけど。




俺、臨也のことすきだよ。



END.

   
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ