さいど

□嘘吐きだって輝ける。
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「…シズちゃん、俺、結婚することになったんだ。来週の金曜日に式あげる予定だからシズちゃんとはもう…」





「……………………………………………………………………はっ?…結?お前頭大丈夫か?俺のせいでイカレたなら謝るぞ?」

「だから、シズちゃん、ごめんね…」

「…いや、ごめんとかじゃねぇだろ…」

「別れよう」

「………え?」

「シズちゃん、本当にごめんよ」

「何言って……は?臨也、大丈夫か?」

「色んな事情があって、あの人のところに居た方が都合がいいんだ」




まあ、いつか来るだろうと思ってたことだし、驚かなかった。引き止めようとも思わなかった。

そんな権利は俺には無いから。

ただ、いきなりそんな突拍子も無いことを言われて納得出来るほど大人じゃない。





「…臨也、それまじで言ってんのか?」

「こんなこと、ふざけて言わない」

「悪ぃ…俺には理解できねぇらしい」





当たり前だろ?
今までそんな相手が居たなんて聞いたことも無かったし何でこのタイミングで?

ああもうムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!!!!!!!!





「…また、会ってくれる?」

「わけわかんねぇ」

「シズちゃん…、泣かないで」





知らぬ間に俺は泣いていたらしく、生温い粒が頬を伝う感覚が窺えた。

なんだこれ?

幸いサングラスのお陰で瞳までは見えないだろう。臨也の指が誰かの涙を拭う。

もう相手は俺じゃなくなる。

何でこんなにすきになっちまったんだ。
だいたい誰だよ相手って。
そいつのこと俺よりすきなのかよ。





「シズちゃんだいすき。だからごめんね」





そんなふざけたことを臨也から聞いたのが9日前、“来週の金曜日”まであと8日。

臨也の言うことは最後まで矛盾してた。
いや、意図はわからんでもない。
でも、それを知るのはもっと後。

  
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