さいど
□世界で一番大嫌いな君へ #
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ある日。
そう、それはいつもの光景。
何の変哲もないある日の事。
「いーざーやぁぁあああああああああああああ!!!!!てめぇえええええ!!」
「ふふっ、…シズちゃんったらまたそんな物騒なもの持ち上げて…公共のものを壊していいとでも思ってるの?」
俺は、グランドでいつものように臨也との死闘を繰り広げていた。
投げて、避けて、追って、逃げて。
唯一、俺が本気で向かって行っても少しも動じない奴。
唯一、俺が本気で向かって行っても絶対に死なねぇ奴。
唯一、俺が本気で向かって行ける奴。
唯一、俺の本気を受け止められる奴。
ずっと1人だった俺は、こいつに出会ってからというもの、何となく気が楽になった。
そんな相手がこいつだというのだから、
皮肉にも程があるってもんだ。
「うるぁあぁあああああああああ!!」
「よっ…っと。全くどこ狙ってんのさ!シズちゃん命中率低すぎ!」
「…うるせぇ!黙れ!死ね!!」
「はぁ…疲れた!きゅーけーいっ!!」
敵の前にも関わらず、グランドに寝そべる臨也。その横に腰を降ろす。
「今日も派手に暴れたねぇ…」
「手前の相手してると疲れんだよ。ったく…」
「…何言ってんの?俺がシズちゃんの相手してあげてるんでしょ?」
「あぁ゙!?手前喧嘩売ってんのか!?」
「あーやめやめ。もう疲れたってば」
臨也は手を顔の上で振り、呆れた表情をつくる。
すると、その腕に見えたのは、綺麗に裂かれた傷痕だった。
まだ新しいようで、血が滲んでいる。
「おい、それ…」
「…ああ、これ?別に大したことないし、大丈夫だよ?」