へたれ一之瀬の奮闘記

□十話目!
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俺は家についたらすぐ、部屋に戻って啜り泣いた。
どうしたらいいか、わからなかった。
悲しくて、悔しくて仕方なかった。


「ひっ……く………うぅ……………」


俺の初めての恋が終わったのだと思えば自然と涙が溢れてた。




……幾らだけ泣いただろうか?
気がつけばもう、夜中だった。


「…………半田」


やっぱり、俺は半田が好きなんだと改めて思った。
普通は………友達なら、喜んであげるんだ。
でも、俺は…


「………はぁ…片思い、か………」


ずっと叶わないとは思ってた。
でも、叶ってくれたらいいなと思ってた。
ああ、矛盾してる。
でも、もう俺には関係がない。
どう考えたって俺には選択肢が一つしかないじゃないか。


「半田………いや、真一…好きなんだ………」


俺は声にだして、改めて感じる。
伝えられなかった。
悔しい、と。
きっと、誰よりも君を、真一が好きなんだ。
ずっと、ずっと昔から好きだった。
だけど、君を一瞬で連れ去った、だれか。
そいつに言ってしまいたい、俺の方が真一が好きなんだって。


「真一、好き、好き………大好きだよ…………」


ああ、この気持ちを君に伝えられればいいのに。
その勇気があればいいのに。
たった、一つの言葉が言えない。


「愛してるよ………真一」


何度、声にだしても虚しく響くだけだった。











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