へたれ一之瀬の奮闘記
□九話目!
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あのあと、ディランに聞いてみたが詳しいことは教えてくれなかった。
………そんなことより最近皆が変だ。
半田はなぜか目をそらして避けられるし、フィディオは会う度に「カズヤのバーカ!!カズヤなんか大嫌いっ!!」って言われるし、マークは哀れみな感じと微笑ましそうな感じで見てくるし、ディランも少しテンションが低い。
少しだけど。
「……はぁ」
マークとディランはともかく、半田とフィディオの態度にはへこむ。
俺、なにか嫌われるようなことしたっけ…?
「また溜め息か。本当に幸せが逃げるぞ」
「マーク!?」
後ろから急に声をかけられたと思えば、そこにはマークがいた。
「カズヤ、一緒に帰らないか?」
「へ?別にいいけど……」
「じゃ、決まりだな。さ、行くぞ」
俺とマークは二人で帰路につく。
だけど、二人揃って無言だった。
………気まずい、けど、マークはいつもこんな感じだ。
むしろ、会話を繋げられれば珍しい。
「………カズヤ」
「ん?なに?」
マークから話しかけてくるのは本当に珍しい。
ディランくらいだろう、マークと会話を成立できるのは。
いや、出来てないか……
マークが別のこと言ってるから。
「シンイチとフィディオの様子が可笑しかっただろ?」
「あ、うん。そうだね」
「あれ、シンイチに好きな人ができたからだそうだ」
「え!?」
半田に…好きな人が!?
そ、そんな…………
俺…
「う、そ……?」
「これは本当だ。そうでもなきゃ、フィディオの不機嫌に理由がつかない。オレはなにもしてないからな」
「そん…な…………」
なんだろう…
足元がふらつく。
「!カズヤ、危ないぞ」
「………」
転びかけた俺をマークが支えてくれた。
俺は、一人で立ち上がる気力どころか、唇を動かす気力すらなかった。
「カズヤ、大丈夫か?」
「……………」
マークが心配そうな顔でこちらを見る。
俺はやっとのことで立ち上がる。
そして、何とか口を開く。
「……うん」
「危なさそうだし、送っていこうか?」
「平気…一人で帰れるから……………」
「だが…」
「大丈夫だから!!……………ごめん。一人になりたいんだ………」
俺は心配そうにするマークを振り払って、走って帰る。
ただ、ひたすら、がむしゃらに…
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