へたれ一之瀬の奮闘記

□八話目!
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「みんなが留学してきてからもう1ヶ月がたつのか…」


話によると今学期末迄はいるらしい。
それまでに半田に告白、か…


「あ!カズヤ!!ナイスタイミング!!」

「あれ、ディラン。どうしたの?」


下駄箱のところに行くとディランがいた。
ディランに問いかけると外を見るよう促される。
雨が降っていた。
そうだ、今の時期は梅雨なのだ。


「………もしかして、傘無いの?」

「Yes!!ミーもユーの傘に入れてほしいんだ!!」

「予備の傘があるからそれを使う?」

「Thank you!!やっぱりカズヤは頼りになるね!!」


ディランはこんな雨なのに気にもせずに元気だ。
雨なだけで憂鬱な俺はなんなんだろう。
いや、まぁ……
取り敢えず俺はディランに傘を手渡し、傘置き場から自分の傘を手にする。


「カズヤ、一緒に帰ろうよ?」

「うん。いいよ」


俺とディランは傘をさして帰路につく。
最初は他愛のない話だった。
だが、いつのまにか恋愛の話になってた。
そうなると、当然の如く聞かれるのは俺とあの子のこと。
ディランも例外ではなかった。


「……まあ、こんな感じ」

「…………カズヤ。ユーはシンイチに告白するのかい?」


そういって聞かれても俺自身でさえわからない。
俺はつい、ディランから目を逸らす。


「………ねぇ、カズヤ。して後悔するのと、しないで後悔するののどっちがいい?」


ディランは急に俺に疑問を問いかけてきた。
どう答えようかと悩んでいたらディランは続けた。
………俺に聞く必要ないよね?


「カズヤ、一番大切なのは選んだその結果に満足出来るかだとミーは思うんだ」

「……………」

「ユーは、満足出来ると思った結果を選ぶべきだよ。………まあ、ユーの中では決まってると思うけどね」

「ディラン…」

「でもね。怖いのはユーだけじゃないよ。皆みんな、告白するには勇気が必要なんだ」


なんだろう…
ディランの言葉が身に染みる。
それに、なんか軽くなった気がする。


「ユーは、ミーみたいになっちゃダメだよ…?…………あ、ミーはこっち。Good-by、カズヤ!!」

「へ?ちょっ、どういうこと!?ディラン!?」


必死に呼び止めようとするが、いつのまにか見えなくなってた。
いったいどういうことなんだろう…?










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