へたれ一之瀬の奮闘記

□七話目!
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「疲れたぁ…」


やっと、体育祭が終わった。
俺は屋上でのびてた。
本当に疲れた…
フィディオのせいで色別対抗リレーの代表者になって、それ以外のも大変な役割しかさせてもらえなかったし、部活対抗の大縄も回し手で大変だったしな…
まぁ、大縄は跳べないから仕方ないけど…


「はは、一之瀬は大変そうだったよな」


ふと声がした。
それが聞こえてきた方向に顔を向ける。
そこにいたのはあの子。
そう、半田がそこにいた。


「は、半田?な、なんでここに?」

「俺はなんの係でもないからさ。それこそ、一之瀬はなんかの係じゃないのかよ?」

「……疲れたから、フィディオに押し付けてきた」


君は、俺の言葉に笑う。
あからさまに動揺してしまったけど、君にはサボってるからだと思われたらしく、言わないからさと付け加えられた。
そして、君は俺の隣に座る。
……沈黙が続く。
俺は君を前にすると大抵の場合は思考が殆ど停止するらしく、なにも話せない。
君は基本的には静かで、相手の話を聞くタイプだ。
ど、どうしよう…
何を話そう…
え、と…えーと………
俺が悩んでいると君は話し出す。


「………今日、一之瀬は頑張ってたよな」

「え?そ、そうかな…?」

「そうだよ!俺のクラスの女子がキャーキャー煩かったし…」

「え、と…そうなんだ…」


君は少し悲しそうな顔で言う。
なんだろう…?
苦しそうだ。
なにか、棘が刺さってるような…


「そーいやさ、なんで一之瀬は彼女作らないんだ?人にはよく聞いてくるけど、自分は適当にかわしてるし…」

「………あはは…」

「それに、一之瀬はモテるじゃん」


君は興味津々そうに、尋ねてくる。
でも、やっぱりどこか苦しそうだ。
なんで、なんだろう…?


「……実はさ。好きな子が居るんだ…」

「え、マジで!?一之瀬だったら大丈夫だよ!告ればいいじゃん!!」

「はは…勇気がなくてさ…」

「俺、応援するからさ!!頑張れよ!!」


君は俺のことを元気づけるように笑顔で言う。
でも、君は少し震えてた。
やっぱり、笑顔なんだけど苦しそうだった。
無理をしてるみたいだった…


「半田…大丈夫?無理してない?」


なんか、苦しそうだよ?
そう言うと君は、ちょっと体調悪いかも…もう、帰るよと言って、去っていった。
大丈夫かなぁ…?
俺の心配は他所にフィディオに見つかり、片付けるハメになった。
そのときもあの子のことを考えていて、失敗しまくったのは言うまでもない。













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