へたれ一之瀬の奮闘記

□五話目!
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5、6時間目も終わって、今はホームルームだ。
やっぱり先生の話しを聞き流してあの子のことを考える。
はぁ…、つい溜め息をつく。
俺はあの子に伝えられるだろうか?
凄く心配だ。
そして、振られた時に立ち直れる自信もない。


「はぁ…」

「なぁに、何回も溜め息をついてるの?マークじゃないけど、幸せが逃げるよ」


フィディオはデコピンをしながら言う。
……地味に痛い。
デコピンをされた所をおさえつつ、フィディオを睨み付ける。
フィディオはなにも気にするような素振りを見せず、俺の腕を引っ張って連れていこうとする。
よくよく周りを見てみると俺たち以外誰もいない。
ホームルームが終わってた。


「よし!部活に行こう!!」

「フィディオ、引っ張るなよ!一人で歩けるから!」


とフィディオに訴えても聞く耳持たず。
正直、掴まれてるところが痛い。
俺、なんかしたっけな…?


「あ!一之瀬先輩!!遅いですよ!!」


部室の前に行くと少林が待ってた。
そして、他の人はもう来てますよといって部室に入っていく。
俺も入ろう。
そう思う前にフィディオに引っ張られて入ることになってた。


「カズヤ、遅いじゃないか。すこーし、説教が必要なんじゃないのか?」


前を見ると仁王立ちしたマークがいた。
そうとう怒ってるな。
マークは真面目な気質だから、遅刻が許せないのだ。


「マーク、そんな怒らなくてもいいんじゃないのか?」

「いや、エンドウ。迷惑じゃなければカズヤを1時間程借りていっていいか?」

「へ?いいけどさ。なん」

「助かる。さあ、カズヤ。行くぞ」


フィディオの次はマークらしい。
マークに連行されて部室を出る。
そして、裏門の方に連れていかれる。
………憂鬱だ。
マークの説教はそんな怖くない。
マークはある一定以上の怒りを感じると発散するためと悔い改めさせるために一回だけ地味な嫌がらせをするのだ。
前に怒った時はボールを俺にまわすなということで練習したんだよな…
あれ、地味に悲しいんだよね。
結局俺が奪って…
確かショーンがすっごく怒られてた気がする。
まあ、そんなこんなでマークを怒らせるなというルールが実はユニコーンにあった。
怒らせた人も周りも大変だから。


「カズヤ」

「な、なに?」

「遅刻するなと、何回言ったら判るんだ?」


そういや、前に何回か遅刻したことがあった気がする。
それでこんなに怒ってたんだ。


「えーと、ごめん」

「………」


謝るとマークは無言になる。
ど、どうしよう!?


「どうせカズヤに言ったって意味ないだろうからな。説教は無しだ」

「本当!?」

「但し、そのかわり近況報告をして貰うぞ?」


近況報告?何が言いたいんだろう…?
まさか…


「シンイチとはどんな感じなんだ?フィディオがお前はへたれチキンとなんども言ってたが」

「え、と…」


言いたくない。フィディオから聞いてよ!!取り敢えず、目を離す。

「カズヤ、言わないとサッカーやらせないぞ?」

「円堂たちがやろうって言ってきたら?」


そうすれば、打つ手はなくなる筈!
これで、完封すればサッカーできるし、言わなくてすむ。


「カズヤはまた事故の後遺症が、な…と言う」

「マーク、嘘良くない」

「だが、サッカーをやらせないようにでもしないと悔い改めないだろ?」


マークの言う通りだから、返事が返せない……
俺はその後仕方なくマークに話した。
そしたら、1時間どころでなく3時間ぐらいかかってた。
そう、部活が終わってた。
その後、監督に怒られた。
マークは他人事だから笑ってたけどね……









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