へたれ一之瀬の奮闘記

□四話目!
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「シンイチー!!」


フィディオは半田のクラスに行くと、大声で名前を呼ぶ。
……視線が痛い。
あと、凄く恥ずかしい。
フィディオに文句を言おうと思って隣を見る。
と、いるのはマークだけ。
よくよく半田の方を見てみると、二人が抱きついてた。
ため息が出る。
ついでに頭痛も。


「なぁ、半田ってフィディオ達と知り合いだったのか?」

「えっと…」

「幼馴染みなんだ。あと、マークとカズヤもなんだよ」


……円堂が半田に質問したのを勝手にフィディオが答えてる。
て、え!?
俺が必死に隠してたのに!!


「知らなかったな…半田、教えてくれてもよかったじゃないか?」

「えっと…その…」

「シンイチは恥ずかしがりやだからな。仕方ないだろう」


あれ?マークの声が?
……って、隣に居ない!?
………気がついたらマークさえも半田たちと会話をしている。
いつの間に…


「でも、半田の癖に世界の有名プレイヤーと仲良しだったなんてイラッとくるんだけど」

「と、俺に言われても…」

「シンイチも凄かったんだよ!!」

「ディラン、過去形やめて。俺泣いちゃう」


風丸とか松野とかが普通に会話してる。
なんか、自分の預かり知らぬうちに皆が仲良くなってる。
俺、どうしよう……
あそこにいく勇気がない…


「あ、カズヤ。早くこっちに!!」


とフィディオに手招きされる。
正直助かった。
けど、どこかしら暗黒のオーラが漂ってる気がするのは俺の気のせいだろうか?
そんなことを気にしても仕方ないので、小走りでフィディオの元にいく。


「これで、みんな揃ったのか…」

「そうだね!ミーはすっごく懐かしく感じるよ!!」


マークとディランが感慨深そうに言う。
まぁ、もしかしたらもうみんなじゃ集まれないかもって感じだったから仕方ないかな…
そうして、みんなで思い出話になった。
円堂たちもみんな興味深そうで、それに驚いてた。
………俺たち近所のわんぱく坊主だったからなぁ。


「で、どうなったんだ?」

「当然だけど、怒られたよ。本当にオレたち、やんちゃだったから」


みんなが目を輝かせて俺たちの思い出話を聞いてる中、一人だけ顔を背けてるのを見つけた。
それは、あの子だった。
………どうしたんだろう?
大丈夫かな……?


「ねぇ、半田。大丈夫?どうしたの?」

「いや、別に…」


そう、君は寂しそうに答えた。
でも俺はそれ以上聞けなかった。
君が聞いて欲しくなさそうにしてたからだ。
そして、チャイムが鳴った。
フィディオと共に教室に戻るとき、俺は悔しかった。
好きな君の手助けすらも出来ない自分に…











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