へたれ一之瀬の奮闘記

□一話目!
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朝練が終わり、教室に戻りながらふと考える。

FFの時のこと。
エイリア学園が現れた時のこと。
FFIの時のこと。


去年は大変だったと今更ながら思う。
そして、今年も大変だとぼんやりだけど思う。

受験、卒業、別れ。
今までのメンバーと離れるのだと考えてから、そういえばと、考えが止まる。



伝えなきゃいけないことがあったではないか。



幼い頃から好きだった。
仲良し5人組だったけど、あの子のことしか見てなかった。
アメリカに残らず、雷門に戻ってきたのもあの子ともっと過ごしたかったから。

そこまで考えてから、自分に告白する勇気があるのか?と考えてから立ち止まる。
答えは否。
告白なんて出来る筈がない。
勇気があるかないかではない。


あの子と俺が同性だからだ。


「一之瀬!どうしたんだよ?そんなところでボーッとしてさ。お前らしくないぜ」

「へ!?半田!!」


いきなり話しかけられ、驚く。
でも、本当は彼に話しかけられたのに驚いたのだと思う。
胸が高鳴る。
顔も熱をおびだす。


「……風邪ひいてるのか?大丈夫か?保健室に一緒に行くか?」

「いや!平気だよ。えっと、もう教室入った方がいいと思うよ?」


そうだな、と君は言い、去る。
ふぅ…と安堵の息をはく。


「俺も入らないとなぁ…」


良かった。
また、彼にバレなかった。
彼が好きだってことが。





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