夢見鳥(仮)

□悪夢
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「本当に行くのね」
「はい、院長先生」
「そう、寂しくなるわね。いつでも遊びに来なさいな。ここは、あなたの家なんだから」
「はい。今まで、ありがとうございました」
カレリアはにっこりと微笑む。
「では行きましょうか。マシューなんて朝から泣きどうしなのよ」

玄関口では、この院の子供達と、先生が一同に集まっている。
マシューにつられたのか、クレアまで泣きべそをかいていた。

「シュゼット、元気でね」
ニロが足元に寄ってくる。
「もちろん、ニロも元気でね。クレア、マシューも泣かないで。また遊びに来るから」

そう言って、3人をあやした後、他の子供達一人一人に別れの言葉をかける。

最後に、皆のほうを向きお辞儀をした。
「みなさん、今まで本当にありがとうございました。それでは、また、お元気で」

「またね」「元気でね」という言葉に押されながら、門の前に立っているロジェに向かって歩いてゆく。

ロジェは深々と頭をさげる。
「シュゼット様。お待ちしていました」
「わざわざありがとうございます」
「あなたはシルヴァ様の大切な家族ですから。さあ、どうぞ」

シュゼットが車に乗りやすいよう、手をとり支えた。
「それでは参りましょうか」
ロジェが運転手に声をかけると、新しい家に向かい出発した。
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