夢見鳥(仮)

□傷跡
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「じゃあ、始めようか。ひとーつ」
それは、唐突に始められた。
パシンと軽い音、背中に小さな衝撃。
「ふたーつ」
さっきよりも少し強く。
「――いっ」
「声、聞かせて?みーつ!」
「あああああっ!」
最初の二つとは明らかに違う音とともに強い衝撃。続いて痛みが背中に広がった。
今まで以上の恐怖が頭を支配する。
「だめっ!なに?ねえ!いやぁ!」
「よーつ」
「いやああっ!」
背中に熱したコテを押し付けられたような痛みに、顔が歪む。
「いつーつ」「むーっつ」
重ねられていく痛み。
打たれるたびに、悲鳴をあげる。
「ななーつ」
「んああっ!」
シルヴァは振り上げた鞭を下ろし、シュゼットの顔を覗き込む。
「もっと鳴いてよ、ねえ」
「ななーつ!」
さっきよりも強く打たれる。
「――――っ!」
痛みに息を飲み、涙が目隠しでは吸いきれず頬をながれる。
「やーっつ!」
「ここのーつ!」
さっき打ったところを正確にもう一度。
「とおっ!」
「いやあああっ!」
一際、高い悲鳴を上げる。

「………もう…いや…いやだ」
「限界?まだ十回だよ?」
するりと目隠しが外される。
目の前にシルヴァがいた。
「そんな顔しないでよ。もっと、酷いことしたくなるでしょう」
シュゼットの涙を舌ですくいとり、瞼にキスをする。
「服、いらないよね。ぜっかくロジェが準備してくれたけど」
はさみを使って上から下まで切ってしまう。
ただの布切れと化した服を丁寧に脱がせていく。
「……っ」
服が当たるたび、傷口がひどく痛んだ。
シュゼットの身体があらわになる。背中の傷が痛々しい。
「綺麗」
うっとりとしたように傷口を眺める。
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