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□悪趣味
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静まり帰った寮の廊下。夜中のひんやりとした空気がよりいっそ孤独感を感じさせる。


疲れているとき無性に人肌が寂しくなる。
この学園に通い始め、仕事と両立させる生活をしてきてよりいっそそう考えるようになった。

帰ってきたとき明るい言葉で迎えてくれる人がいないという喪失感。



HAYATOというキャラを演じて、本来の自分はHAYATOなのか一ノ瀬トキヤなのか…



疲れているせいか、いつも日常であまり出さない感情が寂しさとしてでる。



ハァー、小さくため息をついて自分の部屋の扉を開けた。



窓から月光が入ってうっすら明るい部屋。



ふと音也のベットを見る。
人の寝顔をこっそり見るなんて悪趣味と自分でも思うが、それが日課になっていた。
いつもうるさくて、なにかと私に友情だのなんだのってしつこく付きまとってくるが、寝ているときはそれを感じさせないほどに音也は穏やかに寝ていて、夜の孤独感を埋めるために毎回つい眺めてしまっていた。




でもいつもそこにいるはずの音也の姿はなかった…



制服のネクタイを緩めて自分のベットに腰を下ろす。
手を後ろについて深く座ろうとすると、不意に何かモサモサしたものに触れて思わず手を引っ込める。
反射的に手の方を見ると、そこにはスースーと寝息をたてて寝ている音也の姿があった。





一瞬の固まって、とっさに立ち上がる。


「な、な、な!!」

あまりの驚きに夜中だということを忘れて、大声がつい出てしまった。
何でこの人ここで寝ているんですか!?
これ、私のベッドですよね。

目をキョロキョロさせて自分のベッドだと確認する。

何事も無いようにいつもの安心仕切った寝顔。



とりあえず起こして移動させなければ…
彼も何らかの理由で私のベットに間違えて寝てしまったのでしょう。
音也も朝起きて驚かれるだろうし…



私はベットの横に立ち膝をついて音也の顔らへんの毛布を少しめくる。


一定のリズムで寝息をたてて本当に気持ちよさそうに寝ている。

こんな気持ち良さそうに寝ているのに起こすなんて少し罪悪感を感じますね。



私は立ち上がって布団を音也にしっかり被せる。



ハァーとため息を一つついて、とりあえず浴槽に向かった。







 

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