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□二人の朝
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「……うっ…」

窓から入る日の日差しに朝だと感じさせられる。
俺は眩しい日差しを遮るように目を擦って、寝返りをうつ。


「音也……起きてください。」

そう言って体を揺さぶられる。

んー、と俺は唸って

「トキヤ…うるさい…」

と小さく呟いてまた寝返りをうつ。



まだ意識がはっきりしないなかでハァーとトキヤの深いため息が聞こえる。



「遅刻しますよ。」


返事はなく、もうスースーと寝息をたてて寝ている音也…


まったく世話が焼けますね…



私は音也の布団を勢い良くメクって枕をその辺に突発的に投げ、ベッドのシーツをおもいっきり引っ張った。



ドンッ!!!!
必然的に音也はベッドから床に落ちる。



「いったぁ…」



「さぁ、早くご飯食べて行きますよ。」


今だに床に座り込んでいる音也をよそに私はそそくさとキッチンに向かう。


「おはよう、トキヤ…」


アクビをしてまだ眠そうな音也。


「おはようございます。」



「起こしてくれたのは嬉しいんだけど、もうちょっと優しく起こしてくれないかな〜。」


アハハーと音也は椅子に座って、テーブルに手をつく。



「普通に起こそうとしても起きなかったのはあなたです。自業自得でしょう。」



私は音也の分のコーヒーをついで、音也の前に座る。


コーヒーを目の前に置くと音也は「ありがとう」っと嬉しそうに笑ってコーヒーを飲んだ。


「そんな自業自得とか言ってるけど、なんやかんや言って毎日起こしてくれてるよね。」



「それはあなたがいつまで立っても起きないからでしょう。」



「トキヤって意外と優しいよね…」



「別に優しくはありません。ただ…」



私がその先の言葉につまっていると、音也が顔を覗き混んで、ただぁ…?と言って先を促す。



「ただ……遅刻は連帯責任になりますからね。」



音也は「確かにそうだったかも〜。」とかまたそんな調子で朝からのほのほしてるし、私もそんな彼のペースになりがち…



「飲んだらさっさと着替えてください。朝はそれでなくても色々忙しいんですから。」


私が席を立って掛かっていた制服に手をかけると、音也がコーヒーを飲みながら適当に「はーい。」と答えた。









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