書物
□Chocolate
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「バレンタインデーって知ってる?」
「知らないわ、何の日?」
食事の後、ダイニングで寛ぐロビンとナミ。
「何処かの国の風習で、好きな相手にチョコレートをプレゼントするそうよ」
「え〜、チョコレートだけ〜?」
アクセサリーとか服じゃないのね、と残念そうにするナミを見て微笑むロビン。
「チョコレートのように甘い一時を…みたいな意味じゃないかしら?」
「まぁ、相手によるけどね……あ、そうだ、サンジくーん」
キッチンで後片付けをしているサンジを呼ぶと、直ぐさまラブハリケーンで回転しつつやってくるサンジ。
「はああああい!んんナミすわぁぁああん!紅茶のお代わりをどうぞ」
「ありがと。今ね、ロビンにバレンタインデーっていう日を教えて貰ったんだけど〜…」
ナミの目が怪しく光るのをロビンは見逃さなかった。
「フフ…悪い子ね…」
「バレンタインデーか…そんなイベントがあるんだな…」
丁度船が停泊中だったのもあって、バレンタインデー用の買い出しに出掛けるサンジ。
と、いうのも、バレンタインデーにはチョコレートのデザートがいいわとナミにリクエストを受けたからである。
(も、もしや、ナミさん…俺からのチョコレートを……)
何て素敵なんだああああ
と、悶えていたら、向こうから緑の頭が見えた。
「おう!マリモ!調子はどうだ!」
肩をバンバン叩かれつつ、鬱陶しそうに眉間にシワを寄せるゾロ。
「…普通だ……お前は今から買い出しか?」
「おう、そうだ!実はロビンちゃんとナミさんからバレンタインデーっつー日の事を聞いてよ!明日はバレンタインデーパーティーでもすっかなーと」
「…あぁ、バレンタインか…」
一瞬、考えた後、思い出したように頷くゾロ。
「んぉ?てめぇんトコはそんな習慣あったのか?」
「まぁな、今まで忘れてたが」
「へー……お前は、貰った事あんのか?チョコレート…」
「…ある」
「んだよ、モテモテっつー事ですか。俺だってなぁ、そんな習慣があればレディからのチョコレート山積みだからな」
はいはい、と言いつつサンジの買い出しに付き合うゾロ。
(そうか…バレンタインデーか…)
「おい、俺はウイスキーボンボンな」
「はああ!?何が悲しくててめぇに作ってやらにゃならんのだ……」
「だって、好きな奴にチョコレートを渡す日だろ?」
「どわああああ!馬鹿!誰が好きな奴だよ、誰が!」
明らかに慌てまくっているサンジを横目にゾロは平然とウイスキーボンボン早く食いてーなどと言っていた。