書物
□不協和音
1ページ/3ページ
ふきょうわ‐おん【不協和音】
1 同時に響く二つ以上の音が、協和融合しない状態にある和音。
2 不調和な関係のたとえ。
……ふと目が覚めるとブルックが自慢のヴァイオリンを奏でていた。
自分は音楽など全く詳しくないし、良いか悪いかなんて分からないが、悪いもんじゃない事は判る。
どれほど寝ていたのか…
まぁ、小1時間だろうと身体を起こす。
「くぉらっ!!!!」
寝起き早々腹が立つ奴の声が頭に響く。
「あぁ!?」
せっかく人が気持ち良く起きたっつーのに、うるせぇ声出しやがって。
「てめぇ、見張りサボるんじゃねーよ。もうおやつ抜きな」
目の前に仁王立ちで立つサンジの手にはゾロに持ってきたものであろうブルーベリーパイが乗っていた。
別に嫌いではないが、好きでもない。
どうせナミやロビンに向けたデザートだろうと思い
「要らねぇよ」
と、言い返した。
くるくるした眉毛が悲しそうな表情を作った気がしたが、一瞬で元のムカつく顔に戻っていた。
「あ、そ」
クルリと背を向けると、サンジは皆の元に戻っていった。
うるせぇ野郎だ。
うたた寝ぐらいするだろ、たまには
…たまにじゃねぇか?
まぁ、良い。
晩飯まで適当にトレーニングでもするか。
チラリと皆の方に目を向けるとサンジの作ったパイを食っている。
「うおーーい!ゾロ!!早くしねぇとルフィに全部食われるぞ!」
ウソップが声を掛けてきたが
「あいつはいらねーんだと」
と、サンジが答えた。
いらねーんじゃない。
てめぇがおやつ抜きって言ったじゃねぇか。
本当に腹立つ野郎だ…
「素直じゃないだけよ」
ナミがコチラを見ながらニヤニヤしてるが、何じゃそりゃ。
俺は何時でも素直だろ。
素直じゃねーのはあいつだ。
「ぬわ〜みさん(ナミさん)!ですよねー!本当にあいつは素直じゃない!!!ところで、お味はどうですか?」
レストランのシェフらしくふるまいながらも女にニヤニヤするサンジを見て、先程見せた悲しそうな顔を一瞬で掻き消した。