もう1つの世界
□教えたくて 届けたくて*
1ページ/3ページ
「ねぇ、次はあそこのお店に入りましょう!」
「えっ!ま、まだ行くのか!?」
早く早くと急かされながらハルカに腕を引かれて、俺はつい苦笑を浮かべた。
俺達はとある街のポケモンセンターに着いた。
街と言っても、辺りは一面豊かな森で覆われている。
どちらかと言えば休憩ポイントと言えるだろう。
食料や薬が残り少なかったため、個人的にはどこかショップへ行って調達をしたかったのだが……。
「ごめんなさいね。この辺りにはそういったお店は無いのよ。隣町に行けばショップも幾つかあるんだけど……」
申し訳なさそうにジョーイさんがそう答えた。
隣町までは歩いて30分ほどらしい。
日もまだ高い位置にある時間帯たったためこのまま先へ進むことも出来た。
けれど、
「この辺りは自然が多いでしょ?だからよく野生のポケモン達も遊びに来るのよ」
「え!野生のポケモンが!?」
野生のポケモンと聞いてマサトの目がキラキラと輝く。
そして何かを言いたそうに困惑した表情でこちらを窺う。
『今日はここで宿をとるか』
俺はサトシとハルカにそうコンタクトする。
顔を見合わせた2人は笑顔で承諾した。
「それじゃあ、この後は夕飯の時間まで自由行動にするか」
「本当!?やったぁ〜!!ねぇサトシ!一緒に外行こうよ!!」
「いいぜ!どんなポケモンに会えるか楽しみだな!な、ピカチュウ!!」
「ピッカチュウ!」
そう言うや否や2人は元気よく外へと飛び出して行った。
そこでふと、俺は未だ自分の隣にいる彼女に気付き声を掛けた。
「ハルカはどうするんだ?」
「私はタケシと一緒に隣町へ行くわ!可愛いお洋服とかアクセサリーとかあるかもしれないし〜!!」
「……あ、ハイ」
かつて、一緒に買い物へ行った際にあの店!この店!と散々ハルカに振り回されたのはまだ記憶に新しい。
――きっとまたそうなるんだろうなぁ。…まぁ、いいか。
「それじゃあ、一緒に行くか」
そう言って隣町へ向け歩き始めた。
そうして、今に至る。