小さな世界

□あたたかい
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そっと手を伸ばしてみる
そしたら優しく握ってくれた

大人のそれとは少し違う、けれど自分のより遥かに大きな手の平

それにすっぽりと収まってしまう自分の手
悔しい、けどどこかくすぐったい気持ちになる

小さく笑っていたらどうした?とこれまた優しい声で問いかけてくる

自分に向けられる穏やかな笑み
その表情を引っくり返してやりたいと湧き上がる悪戯心

「なんでもない」

そう答えてその首に緩く片腕を回す

さっきよりももっとくっついた身体
伝わる鼓動、握られている手が小さく揺れた

特に意味はないのだけれど、どこか勝ち誇った気分になって、

だから油断した

ぐい、と引き寄せられる腰
もうこれ以上はないんじゃないかというくらいぴったりくっついて、

「タ、タケシ!?」

思わずあたふたしてしまうオレなのに
やった本人は楽しそうに笑うんだ

そうしているうちに、段々落ち着いてきて
気が付けばこの温かさに身を委ねようと思っていて


そっと、力を抜いた

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