平安の恋
□光は愛でるモノ -地-
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「晴明。
何故、急にこの話を……」
「占いで出たんじゃよ。
大内裏の炎上事件の時、昌浩は左大臣の姫と恋仲になるであろう、と……」
「……そう………なのか」
「……しかし、まだ運命は変わってはおらぬ」
「?!」
もっくんは下げていた頭をあげて晴明を見た。
晴明は、真剣そのもののだった。
その眼光に、もっくんは固唾を飲む。
そう、この眼光こそが十二神将を配下に下す主の瞳なのだ。
「紅蓮よ。
お主のこれからの行動によって運命(さだめ)は変わるのやもしれん。
今のうちに手を打っておくがよい。」
「晴明………あぁ、わかった。」
「そうと分かれば、早速結界を張っておくから、そのうちに最後までやりなさい」
「なッ、なななななな/////」
晴明のとんでもない発言にもっくんは後ずさる。
心なしか、顔がニヤケている晴明のこの顔は反応を楽しんでいる顔だ。
「大丈夫じゃ。
この晴明が立派な結界を張って、心おきなくさせてやるぞ?
媚薬もホレ、此処に……」
「待て待て待て!
自分の孫の貞操を危機にさらしていいのか?!」
晴明は扇に媚薬を乗せ、もっくんの前へ差し出しながら微笑む。
「儂は可愛い孫と大事な朋(とも)の幸せを願っているからじゃよ」
「………晴明。」
「紅蓮、今夜の為に色々心構えをしておくが良いぞ」
媚薬を手にしたもっくんは晴明に礼を述べると何処かへ行ってしまった。
「昌浩の心は既にわかっておる。
きっかけが足りないだけじゃよ」
占で見た、昌浩の本来の心を。
そして、上手く伝わらないのも。
晴明は立ち上がり、勾玉を取り出した。
「こちらも、仕上げておかねばな……」
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