拍手連載

□あれ?
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〜あれ?〜

  
  シオンside

 「よく寝た〜」

 俺が書類を片付け始めて、早数時間
 男はようやく起きた
 
 「あれ?誰だお前」

 「ん?あぁ、初めまして。俺はシオン・アスタール」

 「ライナ・リュ−トだ」

 そう言ってライナは、大きな欠伸をした

 「で、シオンはなんで此処に居るわけ?」
 
 「俺にも分からないんだ。邸のドアを開けたら此処に居た」

 「へぇ〜、でさ、この書類を片付けたのお前?」

 無駄にキラキラとした笑顔を向けてくるライナにドキンと脈打った

 「あぁ、悪かったな」

ビュンと素早い動きでライナは書類を見ていく

 「なぁシオン、さっきの話を聞くと、邸に帰れないよな?」
 
 「あ、あぁ」

 ライナが凄い勢いで聞いてくるので、戸惑った

 「なら、此処に住め!!でもって俺の手伝いをしろ」

 「は?」

 「俺はお前の敵かもよ?」

 「そしたら、そしただ」

 こいつは危機感が無いのか!?
 突然現れた男を住まわせるだと
 俺が人間だったらまだ良かったかもしれないが
 俺は血を喰らう醜い化け物の“吸血鬼”だ

 「笑わせる、俺は化け物だぞ」

 「別に化け物でも敵でもいいさ」

 「んじゃ、ちょっくら飯貰って来る」

 部屋に居ろよ、と釘を刺してライナは出て行った


 俺は化け物だ
 今まで何度言われたか
 だけど、何も思わなかった
 なのに何故だろう

 こんなにも胸が苦しいのは
 ライナに嫌われたくないと思うのは


 一体、俺はどうしたんだ




〜あれ?〜
 こんな感情、俺は知らない

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