ネコ伝

□ひらひら
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「あんたがライナ?」

ライナにそう尋ねたのは

長い水色の髪に、深紅の瞳の少女

気の強そうな顔立ちで、耳はピンと立ち上がっている

尻尾は細くしなやかなのに、どこか力強さを感じる

「そうだけど」

「へー・・・ま、死なないように頑張りなさい!」

そう言って放たれた拳を、ひょいっと避ける

すると、少し怒ったようで今度は蹴りを出してくる

それを受け止めてしまうと、少女が声を荒げた

「ちょっと!何で避けんのよ!」

「えぇ!?あたると痛いじゃないか!」

「でもあたんなさい!?」

「はああぁぁぁ!?」



現在ライナがいるのは、ジェルメ・クレイスロール訓練施設

ここには、彼と同じくらいの子供が二人いた

ここの責任者、ジェルメ・クレイスロールはまだ来ないのだが

やはりこの施設の子供達も、黒猫を恐れなかった

あえてシオンはそういう場所を選んでくれているような気がする

この訓練施設に入る子供達というのは

それぞれ問題を抱えた子供達だし

とても強い、ということをレルクスに教えてもらっていた



少女は悔しそうな顔をしながら去って行った

「・・・何だったんだ」

彼女の行動を不思議がっていると、後ろで殺気が膨れ上がった

「、」

その場から少々距離を取ると

「ありゃ」

という声が聞こえてきた

振り返るとそこにいるのは金髪の少年

耳は少し伏せられている

エリス家の者と比べると、あまり綺麗とは言えないが

それでも綺麗な顔立ちをしていた

「戦闘経験があるの?」

「まぁ、一応・・・」

ライナが気になったのは、彼の目だ

閉じられている筈なのに、動きが解るのは何故か気になった

「僕はペリア・ペルーラ。ペリアって呼んで」

「・・・さっきのは?」

「あぁ、彼女はピア・ヴァーリエだよ」

ライナはあえて名を言わなかった

ジェルメから聞いているのだろうと判断し

それについてどうこう思ったりはしなかった

「なぁ、聞いていいか?」

「何?」

「お前見えてんの?」

「見えてないよ」

結構あっさりと返されたのに驚いていると

まるでそれが解ったかのように言われた

「耳が発達してるからね。音が大きく聞こえるんだ」

「五月蠅くないのか?」

「大丈夫だよ。ほら」

耳を見せられ、またも驚く

「・・・耳栓?」

「そ。これでも充分聞こえるんだよ」

彼と手合わせする時は、あまり音を立てないようにしたい

そう考えていると、少し遠くで殺気が膨れ上がった

いや、実際には先程から微弱には感じていたのだ

それが突然大きくなった、と言うのが正しい

そちらの方に体を向けると、それは入り口近くにいた

今ライナは訓練場のほぼ中心にいるため

距離は結構離れている

「あれがジェルメ?」

藍色の髪に、鋭い瞳の女―

普通の人間だったら、それだけで動けなくなるほどだ
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