ネコ伝

□ぶらっく・きゃっと
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ティーアはガバリと起き上がった

そこは死体の転がる、あの場所じゃなくて

とても綺麗な・・・宮殿のような場所

「あら、目が覚めた?」

女の声が響いた

眼を向けると、そこには紫がかった白髪の美しい女が立っていた

同じような色の眼を慌てたように見開き

「あぁ、身構えないで?私も“元は”黒猫なの」

そう言った。だがティーアはそれに首を振る

「嘘だ」

「・・・そう思うなら良いけれど」

女は優しく笑う

ティーアが知っている人間に、黒猫に優しくする者はいなかった

『黒猫だぁ!』

『こっちくんな!!』

そう言って誰もが離れていく

優しくしてくれたのは、仲間だけ

同じ黒猫で、同じように嫌われ虐げられてきた者だけ

―元は黒猫だから

彼女は笑っている

黒猫を見ても、怖がらずに優しく・・・

優しく笑う・・・

―本当に?本当に黒猫なのか?

「私はね、未来を視るの」

「!、どうやって!?」

「予知夢よ。夢で・・・見るの」

ただ・・・と女は続ける

「その反動で髪も、眼もこんなだし・・・」

―信じられないのも仕方ないわね

最初から、信じてもらいねいのが解っていたかのようにそう言う

「私はエーネ。ようこそ、ティーア。“黒猫の園”へ」

「なんで・・・」

―なんで名前を知っているのか

それを聞こうとして止めた

彼女は“視た”のだ。夢で、彼と出会うことも

この後どうなるのかも

ただ、彼はとにかく“黒猫の園”という名に惹かれた

黒猫にとっての、楽園―・・・

自分の仲間が、上位種がたくさんいるということが嬉しくて

笑った・・・



 ◇  ◆  ◇



そして彼は“黒猫の園”を守る為に、自ら囮になるような仕事を引き受けるようにな


そして彼は“黒猫”を守る為に彼らを探しに行く仕事を任される



そうして集めた仲間の力で、奴等を殺すために・・・

あの日、仲間達を殺したあの男のいる国を滅ぼす為に・・・



 ◇  ◆  ◇



「さぁ、僕と行こう・・・・“ライナ”」

その物語の筋書きが、全て仕組まれていて決められていたとしても

彼は“黒猫”のためだけに、自らを危険に晒すことを選んだ





そのティーアが、“彼”と出会うのはまた別の物語・・・・・
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