ネコ伝

□でぃすたんす
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それはどうやら、シオンへの問いのようだった

それに、大丈夫じゃない?と

笑みを浮かべて答えると、そっか・・・と小さく囁いたのが聞こえた

それから、ちょっとだけ息を吸い込んだ

何かを決めたような、そんな顔になって

「い、嫌だったら・・・ごめん」

唇に、温かいものが触れた

それがライナのものだと理解するのに、少々時間がかかった

離れる際、唇を舐められる

「ぇと・・・これが、お前と俺の距離・・・な?」

顔を真っ赤にしながら、小さくそう言ってくる

耳もキュ、と下に下がっていて・・・

「(恥ずかしいならやらなきゃいいのに)」

それでも彼からこうしてもらったというのが嬉しくて

拒絶されなかった事が嬉しくて

「うん、解った」

自然と笑みが零れた

「一応、確認していい?」

ぁぅ、と困ったような声が発せられる

しばらく目を泳がせていたが、コクンと頷いた

「俺はお前が好きだ。前に言ったよな?」

「・・・ん」

「今の行動から、お前も俺が好きだって思って良いのか?」

「・・・・・」

赤かった顔が、さらに赤くなった

「じゃあ、俺等は恋人って事で良いんだな?」

「ぅあ・・・・なんでそんな恥ずかしい事言えんの?」

「良いんだな?」

もう一度問えば、顔を枕で隠して・・・

ちゃんと見ていないと気付かないくらい小さく、頷いた

その行動があまりにも可愛すぎて

「〜っ!ライナぁっ!!」

「へ?、ぅ・・・うにゃあ!?」

枕ごとライナを抱き潰す

抵抗といった抵抗が出来ず、ライナはとりあえず尾でペシペシとシオンの手を叩いた

「ちょ、ちょっとシオン?おま・・・っ!?」

パクンと耳を食めば、見を竦めて大人しくなる

―あ〜・・・可愛いなぁ

なんて思っていた時だった

「な、何をしているのだ・・・!?」

ガチャリと扉の開く音と共に入って来たのは、金色の美しい兄妹

その妹の方―フェリスは、驚愕の面持ちで立っていた

「ん?毛繕い」

いや、どう見ても違う。違うのに

「ん。そうか。驚いてすまなかった」

それで終わってしまった・・・

「えっと・・・レルクスも一緒だけど、どうした?」

ちょっと(どころではなく)惜しいのだがライナを話す

すると顔を真っ赤にしたまま、凄い勢いで布団に潜ってしまった

「仲直りしたみたいだね」

「おかげさまで」

クスクスと笑いながら尋ねてくるレルクスは、どうやら全部知っていたようだ

シオンのライナへの想いとか、ライナのシオンへの想いとか

「城の者が迎えに来てるよ?」

「城の者が?」

シオンの眼が、鋭くなる

それにフェリスがちょっとだけ驚いた顔を見せた

「何かあったんだろうね」

「城の者では信用に足りんのでな。兄様が送って行くそうだ」

「・・・・りょーかい」

もの凄く嫌そうな顔のシオンに笑みを向けて

「じゃ、行くよ」

レルクスはシオンを肩に担ぐ

そのまま窓から出て行って・・・

城の者が慌てる声が聞こえて来た。どうやら気付いたらしい
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