ネコ伝

□あなざー・ぱーそん
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さて眠いぞ?眠すぎるぞ?

どうしてこんなに眠いかって?そりゃあ疲れてるからさ

あ、もう2日寝てないからかもしれない



なんてことを心の中で言いながら、ライナはふらふらと歩いていた

食べ物・飲み物には困っていない

実は、現在この間と違う森に潜んでいる

以前いた森よりも動物が多く、水も見つけやすかった

さらにその水は飲んでも平気な水ということが解り・・・

「ここに住もうかなぁ・・・・」

とか思ってしまうほど環境が良かった

しかし森への人の出入りが多く、気を抜くと見つかると思われた

見つかったら、最悪待っているのは―死だ

そのため、寝ることもふらりふらりと場所を移動して歩いていた

家を燃やされてから3日

1日目はなんとか逃げて、その後寝ることが出来たが

「体力より先に精神的にキツイ・・・」

この3日で、ライナは性格と共に口調までもが変わっていた

本当は親に甘えていたい時期に、その親が殺され帰る場所をも失い

周りは全て敵

あまりに酷い環境の中で生きることを選んだライナは、その中で生きるために変わっ


「あぁ・・・くそ。眠い」

どこか寝るのに良い場所はないかと考えていたとき

ふと、先日会った少年を思い出してしまった

『城においで。待ってるよ』

城・・・と呟いて木に登る

気の一番上まで登って顔を出す

その視線の先にあるのは、この国の中心―王城

「王子とか言われてたしな・・・」

そこに行くことを決め、ひょいひょい木から下りる

ここ2日の間に、身を隠すために木に登ったり

食料を確保するために動物を襲ったり

夜動物に襲われたり・・・と色々な事があったため

もの凄く身軽になっていた

というか、もともと運動神経が良いのだが

それに磨きが加わった・・・と言うのが正しい

「(これ・・・返さなきゃな)」

少年のコートを頭に被せて黒髪を隠す

そしてライナは走り出した





「(俺、国外に逃げなきゃいけなかったような・・・)」

とか思いながらも王城内庭にいるとか

不法侵入という立派な犯罪だが、そんなものは関係ない

とりあえず見つからぬよう城門をよじ登り(これは死ぬかと思った)

一番近い木に目掛けてジャンプ。バレそうになったが、驚いた鳥が飛び立ってくれた
ため助かった

その木からするりと下りて伸びをする

「ふぁ・・・疲れたぁ・・・」

待っていると言われても具体的な場所は言われていないし

第一言われていたとしても解らない

探すにも、黒猫は見つかり次第殺されるらしいので下手に動けない

のに

「な!?誰だ貴様!!」

いきなり見つかった

ばっと振り返ると数人の兵士が槍を構えて走ってきていた

「やっべ・・・」

すぐに身をひるがえし、兵から逃げる

待て!という声がしたが無視。というか待てと言われて待つ悪者はまずいない

「(って、おれ悪者?)」

角を曲がってすぐにあった木に登り、息を潜める

「い、いない・・・だと!?」

「探せ!探せ−!」

もう少し周りをよく見ろよ、と心の中で言いながらさらに上へ登る

さて、ちょっと・・・いや、もの凄く困ってしまった

これではもっと動けなくなってしまった

木の幹に背を預け、考え始めようとする

が、これは間違いだった

「(眠気が・・・・)」

太陽の光が丁度よく差し込み、眩しくないし暖かい

風が優しく頬を撫でていって

「ふ、ぁ・・・あふぁぁぁ」

大きな欠伸が出る

もう少しで夢の世界へ飛び立てるときだった

「君は誰?」

うっすら眼を開けると、丁度目の前の窓から人が覗いている

身を隠すのに必死で窓があるということをすっかり忘れていた

逃げようかと思ったが、その人物が見知った者だったためそのままの状態でいること
にした

「ねぇってば」

違和感を感じた

目の前に居るのは、先日出会った銀色の少年

なのにその眼は、とても幼く先日とはまるで別人

「・・・何?」

「ここは立ち入り禁止だよ?」

その言葉に、適当に相づちを打つ

さてどうしたものかと考えることにする
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