工房

□たまには良いね
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動物は欲に従順だ

特に、食欲と、性欲



動物と仲の良い佐助は、それをよく理解していた

言葉も解るので、嫌でも解ってしまう

その中でも取り分け仲が良い動物には―・・・

「ぐるる、るる・・・わふぅ、(訳:俺の子どもを作らないか)」

とか

「ぴー、ひょろろろ、ぴぃ(訳:俺と一緒になってくれ)」

と、言われる

いつも曖昧に笑って誤魔化すのだが

佐助にも我慢出来ないことはある

しかし動物は友人、大切な存在

「うぅぅ・・・」

怒るに怒れず―・・・殺すにも殺せず

いつも悩むのだ

そして、その動物に負けない奴を一人知っていた

動物と同じだなんて、ちょっと―・・・いやかなり引くが

どうしても嫌いになれないのだ

「お、猿」

ちょうど、“嫌いになれない奴”の事を考えていた為

知らずのうちに身を固くしてしまった

その“嫌いになれない奴”、霧隠才蔵は真顔で言った

「丁度良い。ヤらせろ」

ひょい、と肩に担がれ軽々と運ばれる

それを城の者が「なんだ?」と見てくるのが恥ずかしい

というかその前に、才蔵の言葉に真っ赤になった

「才蔵!おろせ、馬鹿っ」

「うるせぇ、黙って運ばれろ」

動物は友人で、大切な存在

しかし才蔵は人間、友人でもなければ大切でもない

・・・認めているのは否定しないが

だが、動物に似ているからこそ嫌いになれないのだ

さっさと才蔵の部屋に運ばれ、畳に寝かされる

「待て!ゃ、さいぞ・・・っ」

「・・・」

「やだ・・・っ、さいぞぉ、昼は、だめっ」

ほとんど泣きの混じった声で、制止の声をかける

すでに服は半分脱がされている

「さいぞぉ、!」

腹に足蹴りでもしようかと考えた時だった

「才蔵!いる〜?」

「才蔵、ちょっと」

障子が、ガラリと開いた
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