工房

□大好きな君に残す言葉
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―大好きな君に残す言葉―



一君



どんなに君を呼んでも

どんなに君を抱きしめても

 足りないんだ・・・



ねぇ、こんなに貪欲に君を求める僕って

 おかしいかな・・・



でも、君の為ならどこまでもおかしくなっても

 いい気がする



君は「バカがっ・・・」って

 頬を赤く染めて言うだろうね

あぁ

今、無性に君の声が

  聞きたい・・・



もう一度

 僕の名前を呼んでほしい



「はじめ・・・くん、」



最近無意識に

 君の名前を口に出すかも



死期が

 近いからかな・・・

きっとこう言ったら君は泣きそうな顔するだろうね。



苦しいなぁ・・・

君に逢えないのが

君にこの想いを伝えられないのが

何より一番

君を、置いて逝くのが・・・・



「・・・総司」

「何ですか、土方さん・・・」

土方さんは

 ここにいていい人じゃないのに・・・

どうして?

「斉藤が来ている」

「っ!!・・・此処に呼んでくれます?」

できるだけ冷静に

今、彼を見たら何するか解らない・・・

「総司、具合はどうだ?」

一君は

いつものように話してくれた

「ん・・・まだ平気だよ」

「そうか・・・」

君のことじゃないでしょう?

どうしてそんな泣きそうな顔するの・・・

「ね、笑って・・・?」

「は?」

「笑ってよ」

「なぜ・・・」

君の顔を見るのが

 最後かもしれないから・・・

でも、それは言わないよ

「君の顔が、笑顔が好きだから」

「バカが」

一君は

 困ったように笑ってくれた



彼はまだやる事があって帰って行った

ねぇ

最後に君の笑顔が見れて良かった。



「千鶴ちゃん、これ一君に」

僕は見舞いに来てくれた千鶴ちゃんに

 文を預けた





この後僕は

 お馬鹿なあの人と千鶴ちゃんを守るため

羅刹となって散った・・・

先に逝く事を許してね・・・



後日彼のもとへ届いた手紙には

「ずっと大好き

  先に逝って待ってるから。

 焦らずおいで

 僕の愛しい人」

と、書いてあった



「そう・・・じ・・・・っ!」

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