工房

□狂気
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―この身を蝕む狂気―



ホシイ

ホシイ

ホシイ



いつからこんなに求めるようになった?



ホシイ

ホシイ



チガ

血が

欲しい



――――――――

僕は新選組の役に立ちたくて

近藤さんを守りたくて

彼を守りたくて・・・

この力を望んで手にしたはずなのに



僕はまだ人でいたい

なのに

山南さんからもらったあの薬を

身体がうけつけない

唯一欲しがるのは

血と





ねぇ、

僕は今君に逢いたくない

逢いたくないのに



どうして?



「そう・・・じ・・・?」



そんな泣きそうな顔しないで

ううん。

させてるのは僕だね

身体が餓えて

餓えて

「ごめん、一君・・・」

次に僕を捕らえるのは

血の甘い香りと

彼から発せられる甘い声

肩に首を埋める僕が

君の血を飲んでいるから

おいしかった

止まらなかった

そのくらい僕は餓えていたんだ

「や・・・!そうじ・・・・・っ!」

そっと舌を這わすとビクンと震える

声を発する

もう

止まらないかもしれない

ううん

止まらない

「そぉじ!総司!!」

グイっと引っ張られ我にかえった

今僕は何を思った?

彼の潤んだ瞳と

はだけた着物と

そこから見える傷に

僕は罪悪感にかられる

「・・・!!ごめ、ごめん!!」

どうしよう

もう戻れない

もう

我慢して

苦しく思っていたつい先程には

戻れない



僕は捕らわれたんだ

いや

違う

囚われていたんだ

彼を欲する醜い感情に

もっと彼をみちゃくちゃにしたいっていう

この

狂気に・・・・・

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