工房

□お仕置きはお好きですか?
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 最近兄さんは僕を構ってくれない

前まではしつこいくらい引っ付いてくれたのに

 それに、血は繋がっているけれど恋人という関係だし

 体の関係だって普通に持っている

 だから、お互いくっつくのは当たり前だった

僕だって子供じゃない

構ってくれない理由は解ってるし

 それについては僕も協力をしている

 でもこうも放っておかれると、そろそろ我慢の限界だから



「だああぁぁぁ!また失敗したぁ!」

 ここは寮の部屋の中

今兄さんがやっているのは、

3本の蝋燭の、両端2本だけに火をつけるという修行

 料理は凄いこだわるし、それに関しては半端じゃない集中力を見せるくせに

 勉強とか、こういう事に関しては集中力の欠片すら見せない

 多分、集中はしているのだろうけど・・・

 比にならない、と言うか

「兄さんまた失敗?」

「おう、雪男。・・・まぁ、見ての通りっつーか」

「大丈夫だって。いつかきっと多分出来る筈だから」

「おま・・・それフォローしてんの?」

 人目のない所では出している尻尾

 それが、ふわりと動いた

 不機嫌そうに揺れていないって事は、そこまで嫌に思ったわけじゃないらしい

 ホント、兄さんに尻尾がついて万歳っていうか

 もともと解りやすい兄さんが、もっと解りやすくなった感じで

 何処まで可愛ければ気が済むのだろうこの人は

「出来るようになりたい?」

「まぁ、なあ・・・」

「じゃ、失敗する度にお仕置きってのどう?」

「はぁ?」

「はいじゃあ、やってみようか奥村君」

 そう言うと、慌てて蝋燭を並べ始める

 しばらく「マジでやるの?」みたいな顔はしていたけれど

 僕が本気だって解ったみたいで、渋々蝋燭を見る

「・・・・・、ぁ」

 火は、ついた

 ただ残念な事に真ん中と左の蝋燭に、だ

「はい失敗。じゃ、尻尾で良いかな?」

「え、ちょっ・・・!そこは、ぁあああ!」

 悪魔の急所である尻尾

 意図を持って触れてあげれば、可愛らしい反応を見せてくれるわけで

 ぱくりと口に含むと、一瞬にして頬を赤く染め上げ、啼いてくれた

「おしまい。はい、もう一回」

「ふぁ・・・、それ、反則だろぉ・・・」

 両手を床に付いて、目だけでこっちを見てくる

 半分泣いてしまっているんだけど

 それだけ驚いたか・・・または

「ほら、早く」

「む、ぐぅ・・・、」

 尻尾を持った状態で催促すれば、困ったような顔をする

 でも、兄さんが出来るようになるまで止める気はない

 最近構ってもらえなかったし

 ま、構って貰えないなら僕が構ってあげれば良い話だけど

「〜っ・・・、無理ぃっ!」

 尻尾を握られている感覚に邪魔されるのか、火は全然狙い通りに付かない

「まったく・・・出来るようにならなきゃこのままだよ?」

「ひゃっ!、やぁ・・・っああぁ!」

 尻尾の先を食みながら、裏を指でなぞる

 だんだん兄さんの体は前のめりになっていって、最後には俯せに寝てしまう

「ホント尻尾弱いね、兄さんは」

「ゃあ・・・ん、ゆきおぉ、」

 その顔に、頭のどこかで何かが切れた音がした

 頬染めながら涙目でこっちを見るなんて

 反則以外のなんでもない

 しかも甘い声で強請られるとは思わなかった

 本当は修行させていてあげたいけれど

「ごめん、おしおきも修行もなし」

「ひ、やあぁぁぁ・・・っ!」

 僕は本格的に兄さんと遊ぶ事にした



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