工房

□愛のカタチ
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  私は貴方を愛しているのです


  貴方も私を愛してくれています

  それが、とても嬉しいのと同時に、不安なのです



  もし貴方が私以外の者を愛してしまったら―と

  もし私が貴方以外の者を愛してしまったら―と



  不安で、不安でしょうがないのです



  だから私は貴方にお願いをします



「才蔵・・・」



  私を―・・・



「我を、殺して」



  殺してください

  私が貴方の中で、綺麗なうちに

  私が壊れてしまう前に



  貴方が誰かに殺されるのだって許せない程、愛しているのです

  私は貴方以外にもらう“死”以外許せない程、貴方を愛しているのです

  ―それが天命でも、です



  だから殺してください


「才蔵、我、愛してる、言った…それ、嘘?」



  違う、と貴方は首を振ります

  解ってます

  でもお願い

  私のお願いを、聞いてください

  これは、私の心からの我が儘なんです



「お願い、才蔵・・・」



  残酷な願いと解っています

  けれど、私は貴方以外を愛したくないし

  貴方に私以外を愛してほしくないから



  これは、私から貴方にあげる鎖―…

  貴方の生が続く限り、私に繋げておくための、鎖なのです



「佐助、佐助・・・」



  貴方は泣く

  私のために泣く

  そして私を抱きしめ



  私の背に、その刃を―…



「何故、お前も―…」



  私を貫いた刃は、貴方も貫いている

  貴方は私の我が儘を聞いてくれないのですか?



「お前を、独り、逝かせてやるもんか」



  その綺麗な笑顔に

  私は、笑うのです



  あぁ、これで貴方はずっと私のもので

  私は貴方のものだ―…と
 

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