伝説の黒砂糖

□堕ちた先の汚れた地
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窓からは明るい月が見える

 その暗い部屋の中

 快楽を貪る者が二人

 互いの躯を求め、ただただ快楽に溺れていた

ラ「ぁ・・・!ふぁあ・・・・・!」

 もう何度ヤっているか判らない

 二人とも、何も喋らず

 ただ、互いを求め合う

 部屋に満ちているのは

 卑猥な水音と

 荒い息遣いと

 ベッドのスプリングが軋む音

 そして、艶めかしい喘ぎ声

ラ「ふ、はぁ・・・ぁ、ぁあ!」

 先程から喘いでいる男―ライナは、

 何度目か解らない射精をした

 ライナに快楽を与え続け、

 自身も快楽を貪る男―シオンは、

 そのライナの様子に淡く微笑む

シ「またイったのか・・・・・・早いな・・・」

 ようやく発せられた言葉に

 ライナは息も絶え絶えに答える

ラ「る、さぃ・・・」

 その言葉には反抗の色が滲んでいた

 彼はそのワイシャツの釦を全て外され、

 後ろで手を縛られた状態で俯せにされていた

 シオンはその反抗に満足気に笑みを濃くする

シ「ライナはこうされた方が感じるのか?」

ラ「っ!違・・・っ!」

 違う、とライナが言い終わる前に

 シオンはまた動く

 過敏になってしまっている躯は、少しの刺激でも強く感じるらしい

ラ「ぁああ!・・・ひ、ぁあ!」

 また元気を取り戻したライナの自身を扱きながら、

 シオンはライナの首筋に痕を付けていく

ラ「は、はぁ・・・・・!ぁあ!」

 よく見ると、ライナの躯には幾つもの痕があった

 既にシーツは秘部から足を伝い、

 零れ落ちた精液や、ライナの放ったもので濡れていた

 甘く、艶やかな声を出し、快楽に翻弄されているライナとは対照的に

 シオンは冷たく笑っていた

シ「ライナ」

 呼ばれたライナは、視線だけをシオンに向けた

 涙で濡れた瞳は、「止めて」と言っているように見える

シ「ライナは、天使の堕ちた先って知ってるか?」

 緩く首を振るライナに、淡々と喋り続ける

 その行動に、シオンは体力的に限界なんだとライナは悟る

 ライナも、意識を飛ばさないようにするのが精一杯だった

シ「汚れた大地だよ」

 そう言って、更に深く突くと、

 ライナから悲鳴の混じった声があがる

シ「天使は、もう戻ることはできないんだ」

ラ「んぁあ、あ・・・ふぁああ!」

 暗い光を瞳に宿し、シオンはライナをじっと見つめる

ラ「んぅ・・・!しぉん?」

 その射るような視線は、ライナの恐怖を駆り立てる

シ「もし、俺が堕ちたらお前はどうする?」

 もうライナには、その言葉の意味を理解できなかった

 だが、その言葉の中の闇はしっかりと感じていた

ラ「ぁ、は・・・!っ、助け、る?・・・っ!」

 それは

 もしかしたら、自分への覚悟の言葉だったのかもしれない

 シオンはライナの耳元で何か囁くと、また動きを激しくする

ラ「んんっ!あ、ぁあ!」

〜ありがとう・・・

 耳元で囁かれた言葉は

 酷く寂しくて、切なくて

 ライナは別の意味で涙を零していた

 シオンはそれに気付くことは、ないかもしれない



 二人は共に堕ちていく

 快楽という名の、汚れた世界へ

 何処までも・・・・・
 

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