妖の砂糖
□光
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私の世界は……
祠に封印されてから幾年の月日が流れたのだろうか?
ここを訪れる者は少なく、見える世界も僅か
何度、雪が降り積もり、桜が散り、木の葉が赤く色付いただろう
もう諦めてしまった
封印を解く者は現れないのだと、自分に言い聞かせた
本当は出たい
この小さな世界から出たい
だが、無理だ
私は死するまで、この闇の中にいるだろう
そう思って居たのに…
“彼”はあっさりと封印を解いた
名を夏目貴志と言う
始めは友人帳のために用心棒をしていた筈なのに
今は彼を、彼自身を守りたいと思っている
「にゃんこ先生」
そう呼ばれるだけで嬉しい
きっと、この気持ちは膨らんで行くだろう
“恋”と呼ばれるものに変わるのだろう
だが今はまだ、このままで
夏目、お前は私の“光”だ
今度、“貴志”と呼んでみよう
一体どんな反応をするのやら