妖の砂糖

□とある秋の休日
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木の葉が赤く染まり始めた秋

今日は休み

家でゴロゴロ過ごそうと決めた

温かい緑茶とお饅頭を用意して窓を開ける

ひらり、と風に乗って舞い上がる紅葉

「きれいだなぁ」

はむはむ、ごっくん

「にゃんこ先生も、そう思うよな?」

「うむ」

はむはむ、ごっくん

「饅頭、美味い?」

「うむ」


斑は人形を取って、饅頭を食べている
今日はいつもより幼い少年の容姿だ

頬を膨らませて饅頭を食べている姿は小動物のようだ
「捕まったのに捕まえた気分」

「何の話だ?」

斑には聞こえないように呟いたつもりだったが、聞こえていたらしい

「ん〜秘密、かなぁ」

「ならば、無理矢理聞くまで」

ボワンと音をさせて斑はいつもの青年の姿を取った

「にゃ……斑、まさか?」

「多分、あっているぞ」

ジリジリと詰め寄って来る斑に対して
夏目は同じ分だけ後ろに下がる

だが部屋はあまり広くない
夏目はすぐに部屋の端へと追い詰められてしまった

「言うから!朝からは止めてくれ」

斑はピタリと止まる

「早く言え」

「……斑に惚れて捕まったのに
さっきの斑を見ると俺が捕まえた、ように見える」

その言葉に斑は目を大きく見開く

「斑?」

「フッ、私も夏目に惚れているぞ」

だから襲われろ、と言ってくる斑に裏拳をお見舞いした

「止めてくれ!」

「無理だ」

その後、必死の抵抗も虚しく
夏目は斑に美味しくいただかれました
 

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