妖の砂糖

□幸せは、すぐ側に
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夏目は学校に行ってから気付いた

「あ、弁当忘れた」

そういえば今朝は寝坊してしまい

朝食を適当に済ませて飛び出したのを思い出す

しかもにゃんこ先生も忘れてきた

「その表現は間違えているかも・・・」

昨晩は妖5匹に名を返していたのだ

妖力も睡眠時間も削られるのである

「なんだ夏目。忘れたのか」

「田沼・・・おはよう」

教室に足を運んでくれた田沼に挨拶を済ませる

そこらにいる小妖怪に頼むか

中級妖怪に頼みに行くか

悩んでいる時だった

「きゃ−!!」

廊下から除女子の黄色い声が響いてきた

それも大勢の

夏目と田沼が教室から除くと

そこにいたのは、美青年

いや、もう人間と言っていいのか解らない美しさ

その人物に、夏目は見覚えがあった

「(にゃんこ先生!?)」

そう、あのただのブサイクな猫

もとい斑という妖が変化した姿

銀色の髪を一つにまとめポニーテールにし

いつもの着流しの着物ではなく、洋服に身を包んで

女子生徒に囲まれ、それに笑みを返していた

「・・・・」

「あれ、夏目の知り合いか?」

「違うと思いたい」

「・・・夏目、何怒ってるんだ?」

それに冷たい笑みを返して、廊下に目を戻す

すると、あちらも気付いたみたいで

「夏目!」

と、駆け寄ってくる

「・・・何、先生」

「なんだ。何怒っている」

「別に」

そっぽを向く夏目に、一つの包みを差し出す

それは、忘れてきた弁当だった

「塔子に頼まれてな」

どうやら、これを届けるためだけに人型になって来たらしい

まぁ、猫の姿で来ても見つかり次第追い出されるだろう

「・・・ありがと」

「昨夜は忙しかったからな。仕方あるまい」

そう言って頭を軽く撫でる斑

それだけ機嫌をよくするなんて、と

自分を自分で笑ってしまう
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