妖の砂糖

□満月の夜
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「静かだなぁ」

月を見上げながら夏目は言った

今日は家の中には斑と夏目しか居ないのだ

「静かなのは嫌いではない」

斑は夏目しか居ないと分かっているから、人形を取っている
酷く美しい青年だ

「でも、静かだと……」

孤独を思い出す、と繋げようとして止めた

また先生……斑に心配を掛けてしまうから

「続きは何だ?」

「何でもない」

俺たちが“恋人”という関係になってから
どれだけの時が過ぎたのだろう

「そんな辛そうな顔をしてか?」

「そんな顔、してるのか?
自分じゃ分からないよ」

斑はいつも俺を気に掛けてくれる
でも、それを辛く感じてしまう時がある


いつも俺は斑に貰ってばかりだ

何かお返しを出来ないだろうか?

「なぁ、斑。斑は欲しい物、あるのか?」

「酒と饅頭、それから夏目」

「酒に饅頭、それから俺かぁ………俺!!??」

何を言っているんだ斑は?
俺の全ては斑のものだというのに

「なんて、冗d「良いよ」は?」

「俺の心も体も全部、斑にあげる」

斑は目を見開いて硬直している
その姿を可愛いと思ったのは秘密だ

「もう、戻れないぞ」

「うん」

「離さない」

「うん」

「独占欲が強い」

「うん」

「もし、夏目が浮気をするなら…殺してでも、傍に居させるぞ」

「うん。どんな斑でも大好き
浮気もしないから安心してよ」

俺の言葉を聞いて、斑は俺を押し倒した

直ぐに優しい口付けが降って来て、次第に激しくなっていった


この後、斑と1つになれると考えるだけで腰がうずく




早く斑と1つになりたくて、普段なら絶対にしないことをしたと思う

だが、ハッキリと覚えてはいない

それでも、俺は今日という日を忘れない

短い命だけど、俺はこの命が尽きるまで斑を愛するよ





END
 

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