妖の砂糖

□あとちょっと
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どうしてこうなったのか―・・・

夏目は、とある男の膝の上に座ってそう思っていた

そのある男とは―・・・そう、あのにゃんこ先生の人姿である

銀髪、金瞳の青年

この姿に至るまでに、色々と事件があったのだが

それはまた別の話である

「あの・・・にゃんこ先生?」

「・・・んー?」

向かい合わせとなっているため

必然的に斑の顔は夏目の胸元である

「(息がくすぐったい・・・)」

とは思うが

先生は現在ご立腹中であるので、そこはあえて黙っている



それは、約30分前に遡る



「夏目!七辻屋の饅頭は買ってきたか!!」

「あー、あるある」

そう言って差し出すと、飛びつくデブね・・・招き猫

「茶を煎れろ!」

「解った・・・冷ましてからの方が良いか?」

「構わん!さっさと煎れてこい!」

さて、先生は猫舌なのだろうか・・・

妖だから猫舌じゃないのか・・・

そんな事を思いつつ茶を煎れ、部屋へと持って行った

「よくやった夏目!、あちゃー!!」

「(猫舌か)」

持って、口をつけたかつけてないか・・・

という所で叫び声があがる

もの凄く驚いたのか、本来の姿である斑へと変わった

「ちょ!先生!」

尻尾がバフバフと畳を叩く

とりあえず斑を落ち着かせる為に、その鼻先を撫でた

「・・・熱いぞ夏目」

「火傷したのか?見てやろうか?」

「頼む」

言ったと同時に変わる斑の姿

わざわざ人型を取ってくれた

別にそのままの姿でも構わなかったのに

至近距離で映る、綺麗な男の顔に少しだけ驚く

「、・・・舌出してくれ」

「積極的だな」

「・・・」

「冗談だ!冗談だからその手を下ろせ!」

れ、と出された舌を見ると、やはり赤くなっていた

「火傷だな・・・」

妖であれば3分くらいで治るだろう

「・・・」

斑は、ムスっとした顔になったと思いきや畳の上にどっかりと座り込んだ

火傷したことがちょっと恥ずかしかったのだろう

人型で茶を啜れば良かったものを・・・

そう思っていた矢先、いきなり手を引かれた

「へ?うわぁ!?」

バランスを崩した夏目は、立っていられず倒れそうになる

それを斑は片腕だけで抱きとめ

膝の上に座らせた

「せ、先生?」

「ん〜?」



そして冒頭に至る



先程から呼んでも「ん〜?」

と返事が返ってくるだけ

たまに返ってこなかったりもするが

「いつまでこうしてるんだ?」

「ん〜」

やはりちゃんとした答えは返ってこない

仕方なく斑の髪をいじることにした

目の前では、耳がピルピルと動いたりしている

髪はちょっとクセが混じっている割に柔らかい

手で梳けば、ひっかかることなく下まで下りていく

「・・・夏目」

「うん?」

梳いていた手を止め、斑の顔を見ると

金の瞳がこちらを見ていた
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