妖の砂糖

□満月の夜には
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この夜がこなければいいと、何度思ったか

この日がこなければいいと、何度思ったか

でも、思っていても何も変わらない事で

心の何処かで、この夜を、この日を

嬉しいと思っている自分がいる



「夏目」

呼ばれて振り返れば、そこにいるのはやはり妖

ただそれは、いつもの妖とは違くて

柔らかく、少しクセのある銀に近い白い髪

射るような、猫のような金の瞳

紫陽花模様、淡い水色の着流しの着物の

「なに?“にゃんこ先生”」

そう、この姿はあのにゃんこ先生が人の姿をとったもの

「なに?とは何だ。わたしがやりたい事など解っているだろう?」

そっと頬に触れてくる大きな手は、ひんやりと冷たくて

思わず逃げようとしてしまう

でも勿論先生がそれを許すわけがなくて

まるで逃げるのを解っていたかのように、手を掴まれて引き寄せられる

「ぅわ・・・っ!」

そのまま先生の腕の中

「今日は満月だ」

「・・・うん」

「相手をしろ」

「解ってるよ」

先生は、満月の夜は色々と危ない

その一つが「性欲」

下級妖怪を相手に発散するというのも良いが

どうせなら俺が良いと言われた

勿論俺は「嫌だ」と言って逃げようとしたけれど

やはり相手は妖

力で適わず、そのままその関係が続いてしまっていた

人と触れ合うのは苦手だし、迷惑かけるのも嫌だから距離を置いたけど

本当は、触れ合いたいと思っていた

にゃんこ先生は俺をよく見てくれていて

俺と一緒にいてくれて

本当の事を言うと、この関係も嫌ではなかった

「今日、耳と尻尾出てるんだ」

「ん?塔子達が帰って来たというのがすぐ解った方が良いだろう?」

「尻尾はいらないんじゃない?」

「可愛いところがあった方が良いじゃろう?」

その図体、顔で何を言うか

妖ではどうなのかは解らないが、人間で言うと美形の域に入ると思う

ふと、名取さんが浮かんだ

―あー、あの人も美形だなぁ

「夏目、何を考えた」

金の瞳がきらりと光る

やばい―・・・思っても遅い

噛みつくように唇を重ねられた

歯列を割って、舌を絡められて

大した時間も経たないうちに、俺の体から力が抜けた

「ふ、はぁ・・・っ」

「相変わらず、可愛い顔するのぅ」

「・・・、るっさい」

赤くなった顔を隠すように横を向くと、そのまま後ろに倒される

上に覆い被さるようにして、先生が乗ってくる

「先生、加減しろよ・・・?」

「ふん。誰に言っている」

「・・・」

「無理に決まっているだろう」

―やっぱり・・・

まぁ、今日は満月だし

期待はしていない

でも、あまり無理をさせられると立てなくなるから

塔子さん達に心配をかけてしまう

「そんな事より夏目・・・」

「そんな事じゃないんだけど」

完璧にスルーされた

シャツを捲り上げられ、胸の飾りが見えるようになる

一瞬にして熱が顔に集中するのが解った

クスリと先生が笑った気配を感じる

「ん・・・っ!」

微かに体を巡る痺れに、声が漏れてしまう

それに気を良くしたらしい

「やっ!、そこ、まだ駄目・・・!」

下着ごとズボンを下ろされ、濡らしてもいない秘部に指を挿れた

「ぃや・・・!いたぃっ・・・」

「む?そうか?」

「ぅ〜・・・!ばかぁっ」

本日二度目の失敗

「馬鹿、と言ったか夏目」

「ふぇ・・・?」

「仕置きじゃ」



塔子さん

先に言っておきます

今日、ご飯いりません

―・・・届いていないだろうけど
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