あやかし恋物語
□7章
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「ぅ……朝?」
部屋の中にわずかに差し込む光で貴志は目を覚ました
「起きたか?」
顔を上げると至近距離に斑の顔があった
“いつも通り”の朝
その声に、微笑みに、満たされる自分が居る
否、居た筈だった
それなのに、今日は胸にポッカリと穴が開いたような喪失感があった
「どうかしたか?貴志」
斑の顔を見て黙ってしまったからだろう斑が俺を覗き込んで来た
「ぅうん、何でも無いよ」
まだ、胸の内に喪失感はある
【きっと、いつもより早く起きたから】
そう自分を納得させて起き上がった
「おはよう、斑」
「あぁ、おはよう」