あやかし恋物語
□6章
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斑が名取を連れて部屋から出て
昔話を聞かされているとき、貴志は目を覚ました
「何処、何処に居るの?……斑」
今の貴志の身体は人間だ
斑の気配を察することはできない
貴志は真っ暗な部屋を出た
空には綺麗な月が浮かんでいる
空を見上げてどれくらいの時が過ぎただろう
短かったのか、長かったのか貴志には分からなかった
「貴志!」
そんな時、斑の声が聞こえた
「まだ寝ていろ、今は酉の刻だ」
「でも、眠れない」
そっと、斑が貴志の手を取ると予想以上に冷たかった
「月が綺麗だよ、斑」
そう言って貴志は斑に微笑んだ
斑はそれに嬉しく思いながら、部屋に入るよう施すのだった