あやかし恋物語

□4章
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「う、ぅん」

闇が深くなる、そんな刻

「目覚めたか?貴志」

「だ、れ?」

貴志は目覚めた

「私は斑だ」

「……まだら?」

「そうだ」

寝起きだからだろうか、たどたどしく名を
繰り返す貴志に斑は自然と笑みを浮かべたのだった

「此処は、どこ?」

「社だ」

「やしろ?」

「神社、と言えば理解できるか?」

「うん」

「少し違うがそんな感じだ」

斑は貴志に違和感を感じた
いつもはもっとツンとしているが今は妙にデレている

「貴志、私の事は分かるな?」

「斑だよ?俺の恋人の」

「そうs……うん!?」

頷こうとした斑だか、可笑しい事に気がついた

斑は貴志が好きだ、愛している
しかし、それは片思いでしか無かったのだが貴志はなんと言った?

“恋人”と言った

「なら、人間をどう思う?」

「人間?俺たちとは決して相容れない者、ときに非常食」

斑はそこで違和感の原因がこれだと確信した

貴志は人の心を忘れてしまった
体は人間でも心は妖

今、貴志が言った言葉はかつて斑が言った言葉だった
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