あやかし恋物語
□3章
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要と透は名取に抱えられ、夜の空を飛んでいる
「名取さんは“天狗”だったんですね」
『そうだよ』
「良いなぁ」
「透は昔から空を飛びたがっていたからね」
要と透は「懐かしい」と言いながら、微笑む
『どうしてだか、理由を聞いてもいいかい?』
「兄さんは母さんに疎まれていて、いつも下を見て生活していたんです
自分が“化け物”だから悪い。“化け物”だから愛して貰えない
そう言って地を見て生活していた」
「だから、空を見て貰いたい……大きな空を見たら
自分なんて、ちっぽけに思えるでしょ?
どうやったら空を見上げてくれるか……そう考えたときに
私が空を飛んだら、見上げてくれるかな?ほめてくれるかな?って」
透は微かに頬を赤く染め、恥ずかしそうに言った
『なるほど、二人は貴志が好きなんだね』
「あぁ、そうだな」
「えぇ、好きよ」
二人の“好き”は家族愛なのか、違うのか今の名取には理解することができなかった