あやかし恋物語

□1章
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月日が流れるのは早いことで、女が一番先の子を産んでから14年の月日がたっていた

今日はその子の14歳の誕生日

その子の名は“貴志”、長男

二番目の子が“要”、次男

三番目の子が“透”、長女

である


「兄さん、こんな所に居たのか?」

「要…」

貴志は縁側で月を見上げていた
そこに要がやって来たのだ

「誕生日、おめでとう兄さん」

「ありがとう、要」

穏やかに笑う二人の姿を、月は優しく照らしていた

「貴志兄さーん!要兄さーん!」

そこに透がやって来た

「貴志兄さん、誕生日おめでとう」

「あぁ、透、ありがとう」

三人は星が瞬く夜空を見上げた

「今日は満月なんだな」

貴志がポツリと言った

「なぁ兄さん。今日は来てないな」

「あぁ、今日は居ない」

三人は特別な力を持っていた

貴志は不思議な者を見る
要は不思議な者を感じる
透は魔方陣の上だけならで見れる

「そうなんだ」

三人が話しているのは“妖”と呼ばれる者たちのことだ


と、そんな時ザァと強い風が吹き木の葉を揺らした

『来たぞ、迎えに来た』

声の主は月明かりに照らされた美しい青年だった

『貰って行くぞ、人の子よ』

青年の腕の中には気を失った貴志が居た

「兄さん!?」

「貴志兄さん!!」

青年は貴志を抱き上げると(姫抱き)闇の中へ消えてしまった


「いやぁぁぁあああ!!」

闇夜の静寂に透の声は響いた
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