短編その他

□その目が焼き付いて
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それは遠い昔の記憶。

空から落ちてきた何かが、私に不思議な力を注ぎこんだらしかった。
大きな施設で私は研究されていた。

氷漬けのロボットと交信するのが唯一の楽しみだった。
互いに言葉でなく、心で通じ合っていた。
どう思っているかわからなかったけど、私はあなたを知りたかった。
だけど。

危険と判断された私は別の場所で隔離されることになってしまった。
嫌だ嫌だと泣き叫びながら彼と離れる。
最後まで、彼との繋がりが途切れるまで、私は泣き叫んでいた。


ーーー
それは微かな記録。

氷の中で夢でも見ているかのようだった。
停止しているはずだったその間の夢の中で、一人の少女の声が聞こえた気がした。

たかが交信。
けれどもその対象はとても興味深く、ペットとしてなら近くに置いてもいいかもしれないと思えた。
それでも目覚める頃には知っていた。

もうとっくに彼女はいないのだ。



ーーー
戦いの後、とあるオートボットが一人の女性を認識した。
どこからかやってきた彼女は落ちていた破片を拾い上げる。


『やっと会えるね。』


戦闘による故障だったのだろうか。
ほほ笑んだ瞬間。
その目が赤くなったように見えた。


反逆者による報復。
やがて、破壊大帝は復活する。

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