short dream
□縁側に腰掛けて
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最初は何があったのか状況が飲み込めなかったけれど、しばらくしてようやくわかってきた。
『沖田...さん』
倒れ込む直前に、たまたま通った沖田さんが私の腕を掴んで、支えてくれた...らしい。
『すいませんっ//』
「なんで謝るのさ?」
『えーっと..』
「ま、別にいーけど」
そう言って、沖田さんは縁側に腰掛けた。
んー..どうしよう
実は私、沖田さんがちょっと苦手かも。
"斬る"とか"殺す"とか、よく言われるし、意地悪ばっかりされるし..
だから、いまこの状況はちょっと厳しい。
沖田さんと2人だと、会話もあまり続かないし。
「ねぇ」
『はい?』
「千鶴ちゃんさ、ちょっと働きすぎなんじゃない?」
『え?』
「顔色悪いし、座って休みなよ」
そう言って、沖田さんは自分の隣をポンポンと叩いた。
『でも、夕飯の支度が..』
「そんなの、一君に任せておけばいいから」
いい..の、かなぁ?
でも沖田さんの言うこと聞かないと、逆になんか言われそうだし。
ちょっとなら、大丈夫だよね?
そう思って、私は沖田さんの隣へと腰掛けた。
『隣、失礼します』
沖田さんは、何も言わずにただ前を見つめていた。
うん、気まずい!!
やっぱり、沖田さんと2人は無理があるかも。
会話がないまましばらくたち、夕日が沈みかけてきたころ、やっぱり夕飯の支度を手伝おうと立ち上がろうとしたと同時に、沖田さんが口を開いた。
「千鶴ちゃんが何を思っているかは分からないけれど、そんなに焦る必要は無いんじゃない?」
『..え?』
あせ...る?
『私、何か焦っているように見えましたか?』
自分でも気づかなかったのに..
「うん、焦って行き急いでるって感じかな。近藤さんとか、みんな心配してたんだけど..」
心配、してくれてたんだ。
「倒れるくらい頑張らなくてもいいのに」
沖田さんは、いつものニヤニヤした笑みを浮かべている。
でも、どこかその瞳は優しくて。
沖田さんも、心配してくれてたのかな..
もしかしたら、沖田さんってそんなに嫌な人じゃないのかもしれない。
むしろ、優しい?
新たな一面ってやつを発見できたかも。
『沖田さん、ありがとうございますっ!!』
私は沖田さんの方を向いて、頭を下げた。
「僕は別に、何もしてないけど」
沖田さんは苦笑いを浮かべた。
でも、少し照れたような感じで..
私は沖田さんに一礼して、夕飯の支度を手伝う事にした。
なんだかこれから、もっと頑張れそうっ!!
END
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