short dream

□縁側に腰掛けて
2ページ/2ページ






最初は何があったのか状況が飲み込めなかったけれど、しばらくしてようやくわかってきた。



『沖田...さん』



倒れ込む直前に、たまたま通った沖田さんが私の腕を掴んで、支えてくれた...らしい。



『すいませんっ//』


「なんで謝るのさ?」


『えーっと..』


「ま、別にいーけど」




そう言って、沖田さんは縁側に腰掛けた。


んー..どうしよう


実は私、沖田さんがちょっと苦手かも。

"斬る"とか"殺す"とか、よく言われるし、意地悪ばっかりされるし..

だから、いまこの状況はちょっと厳しい。

沖田さんと2人だと、会話もあまり続かないし。



「ねぇ」

『はい?』

「千鶴ちゃんさ、ちょっと働きすぎなんじゃない?」

『え?』

「顔色悪いし、座って休みなよ」


そう言って、沖田さんは自分の隣をポンポンと叩いた。


『でも、夕飯の支度が..』

「そんなの、一君に任せておけばいいから」



いい..の、かなぁ?

でも沖田さんの言うこと聞かないと、逆になんか言われそうだし。


ちょっとなら、大丈夫だよね?


そう思って、私は沖田さんの隣へと腰掛けた。


『隣、失礼します』


沖田さんは、何も言わずにただ前を見つめていた。




うん、気まずい!!




やっぱり、沖田さんと2人は無理があるかも。




会話がないまましばらくたち、夕日が沈みかけてきたころ、やっぱり夕飯の支度を手伝おうと立ち上がろうとしたと同時に、沖田さんが口を開いた。



「千鶴ちゃんが何を思っているかは分からないけれど、そんなに焦る必要は無いんじゃない?」


『..え?』



あせ...る?



『私、何か焦っているように見えましたか?』


自分でも気づかなかったのに..



「うん、焦って行き急いでるって感じかな。近藤さんとか、みんな心配してたんだけど..」


心配、してくれてたんだ。


「倒れるくらい頑張らなくてもいいのに」



沖田さんは、いつものニヤニヤした笑みを浮かべている。


でも、どこかその瞳は優しくて。


沖田さんも、心配してくれてたのかな..




もしかしたら、沖田さんってそんなに嫌な人じゃないのかもしれない。


むしろ、優しい?


新たな一面ってやつを発見できたかも。



『沖田さん、ありがとうございますっ!!』


私は沖田さんの方を向いて、頭を下げた。


「僕は別に、何もしてないけど」


沖田さんは苦笑いを浮かべた。

でも、少し照れたような感じで..



私は沖田さんに一礼して、夕飯の支度を手伝う事にした。





なんだかこれから、もっと頑張れそうっ!!









END




.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ