小説。

□※欲。
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ゆっくりと、膨張したそれを彼に埋めて行く。

すると、彼の内壁が吸いつくように絡んでくる。

「ん…ふ、はぁ」

悩ましげに寄せられた眉間と、その口から洩れる熱い吐息にたまらなくなって。

「松田、…また、大きくな…った」

彼がどこか嬉しそうに呟いた。

その間にも快感はジンジンと体を駆け巡っている。

「伊出さん…我慢できないです…」

ゆるりと腰を動かすと、彼はくっと瞳を閉じた。

「待って、まだ」
「ぁ、でも…」
「松田…」

じっと見据えられて仕方なく動きを止める。

(あー今すぐガクガク揺さぶって泣かせたい…)

そうは思っても、彼の体を考えると、

やっぱり出来ない。

(辛い、この時間)

慣れるまでの、おあずけの時間。

いろんな葛藤が浮かんだり消えたりして、欲が苦しいくらいに心の中で膨れ上がって。

(早く…)


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松田が入ってくる、遠慮がちに。

内臓がぐぐっと上に持ち上げられた感覚。

痛みと、快感。

思わず吐息が漏れる。

そして、自分の中でまた大きくなった松田の、ソレ。

そっと締めつけると、更に質量を増した。

それが、可愛くて。

「伊出さん…我慢できません」

そう言ってゆっくりと動き出す。

その瞬間、強すぎるほどの快感が全身を貫いた。

(あ、うぅ…っ)

必死で声を殺す。

「待って、まだ」
「ぁ、でも…」
「松田…」

分かってる。

俺だってそうしたいさ。

でも松田が、変に遠慮したりするから。


(滅茶苦茶に犯してくれれば良いのに)

それでも松田はなかなかしない。

そうしたいって、顔に出てるのに。

(俺に遠慮なんてするからだ。優しすぎるからだ。馬鹿…)

俺の事を考えてくれているのは、分かっている。

(でもなぁ、もっと、自分を解放してくれても良いのに)

だから、それまで。


少しだけ、意地悪な、時間。


(早くしろよ、松田…)





END

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