小説。
□ずっと
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重い瞼を開けると、目の前に眠っている松田の顔。
暗くてよく見えなかったが、呼吸を辿ってキスをする。
眉間にも同じようにキスをして起き上った。
枕元にあった携帯を開いて時刻を確認する。
「・・・3時、か」
外も部屋も真っ暗闇。
ベッドの下に無造作に落ちている衣類の中からわざと松田のTシャツを選んで着る。
最初は流石に躊躇したが、今では当たり前のようになっている。
エアコンの設定温度を29度に上げて軽く伸びをする。
「痛・・・」
腰にズキンと鈍痛が走り、思わず手で押さえる。
最近ではこの痛みが後日まで尾を引くからやっかいだ。
「歳、だな・・・」
しみじみと呟くと少し寂しく響いて、急いで松田の胸へと引き返した。
反射の様に松田の腕が俺を抱きしめてくる。
その動作に心音がドキドキと速くなって、同時に体も、熱くなる。
(まだまだ42歳も捨てたもんじゃないぞ)
自分に言い聞かせるように言い、再度瞼を閉じた。
(いつまで恋愛に現役で居られるかな)
限界まで。
END